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1.1 頻度と予後

息切れや動悸といった、心不全の症状を訴えてくる人の50%近くが、心臓の収縮能が正常であるか、 ごくわずかに障害されているだけである。

こうした患者を、近年では"拡張障害型心不全"と診断している。

いくつかの統計によれば、拡張障害は年齢とともに増加し、男性よりも女性のほうが頻度が高い。 高血圧や、左室肥大の所見はよく見られる。

収縮障害が中心の心不全に比べて、 拡張障害型の心不全の予後ははっきりしない。しかし、高齢者に関しては、 収縮障害の患者と同じような予後といわれている。

拡張障害型の心不全の明確な疾患概念、あるいは診断基準はまだなく、 このために拡張障害の治療に関する臨床研究は、なかなか行いにくい。

拡張障害型の心不全の患者数はもっと多いという意見もあれば、逆に"拡張障害型心不全"という診断名を 安易に使いすぎている、という意見もある。

現時点では、拡張障害の治療に関する大きなトライアルはまだ行われておらず、 拡張障害の成因に関する研究が始まっている程度である。


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admin 平成15年2月14日