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7 薬剤耐性肺炎球菌の感染

アメリカでは薬剤耐性肺炎球菌の頻度が40%にも達し、問題となっている。

こうした薬剤耐性肺炎球菌の増加が、臨床的にどの程度の意味があるのかについては、まだ議論がある。

現時点では、肺炎球菌の耐性は中等度耐性と高度耐性とに分類されている。また、ペニシリンへの 耐性が証明された肺炎球菌は、マクロライドやセフェムへの耐性を、同時に持っていることが多い。

肺炎球菌に抗菌力を持っているニューキノロンやケトライド系抗生剤、バンコマイシンは耐性肺炎球菌に まだ効果がある。キノロンへの耐性肺炎球菌はまだ少ないとはいえ、近年の報告では4%前後の耐性の獲得が 報告されている。

耐性肺炎球菌の存在が、臨床的にどの程度影響影響するのかは、まだ議論がある。髄膜炎を除いた統計では、 耐性肺炎球菌の感染患者に従来用いられてきた抗生剤を用いても、入院期間の延長以外に予後に大きな差はなかった。

スペインはアメリカよりも耐性肺炎球菌の発生頻度が高いが、確かに耐性肺炎球菌感染患者の死亡率は通常の肺炎球菌 に比べて高かったものの、統計上有意な程の差ではなかった。

これらのデータからは、臨床的に高度の耐性菌の存在が疑われるケースではペニシリン系以外の抗生剤を用いるべきであるが、 ルーチンにバンコマイシンを用いなくてはならない状況はめったにないと考えられる。

現時点でわかっている耐性肺炎球菌感染の危険因子は、

などである。


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admin 平成16年11月12日