SMAPのリスクコミュニケーション

録画を消してしまって、youtube に上がってた録画は瞬殺された。以下うろ覚え。

  • 番組冒頭は復帰と謝罪の挨拶。全員黒ネクタイというのは、ドレスコードとしてのまじめさを強調したためか。「シングルノットだな」というのが気になった。ネクタイの結びが小さいというのは、ジャニーズアイドルにしては珍しいような気がした
  • こういうときにはもちろん、「泣くファン」というのはお約束なんだけれど、鳴き声はむしろ、抑制されているように聞こえた。「あれがうるさかった」という意見もたくさんあったみたいだから、そのへんは分かれるかも
  • 復帰ライブ。「ありがとう」という曲で始まった、この言葉が、番組の縦糸になっていたような気がする
  • ライブ後、たぶん編集なしの会話。稲垣吾郎が「メンバーが欠けた経験は始めて」と語った直後、木村拓哉が「俺たちは2度目だったけれどね」と振った。あれはすごいと思った
  • 中居君が「ちょっと! ちょっと!」とつっこんで、木村拓哉は「こうなった時は、包み隠すことはやめよう。それをやってたら、俺らSMAP、先はない」と返してた。これはさすがに台本作ってたんだろうけれど、稲垣吾郎の事故は被害者がいるんだから、「二度目」という、本当にぎりぎりの線まで過去を振り返った、この言葉はすごいと思った。なんというか、血管ぎりぎりのところで腫瘍を切除しきったみたいな
  • あったことをなかったかのようにしてしまうと、たぶんこのあとの雰囲気が、どこか奥歯に物が挟まったような雰囲気になってしまう。あったことを「あった」と認めて、それでもそこからは、紙一枚奥には立ち入らないぎりぎりの場所として、「二度目」という言葉のセンスはすごかった
  • 後半の料理パート。ゲストは爆笑問題。「よく突っ込む」「お笑い」「案外まじめ」という意味で、ちゃんと考えた人選なんだろうと思う。稲垣吾郎の復帰時にも、このゲストが呼ばれたらしい
  • 番組中のおしゃべり。香取慎吾は毎日電話していたらしい。稲垣吾郎は、何回か、謹慎中の草彅に差し入れを持って行ったらしい。親密さを語る二人に対して、太田が「悪い奴ばかりじゃねぇか」と突っ込んでた
  • ここをもっとまじめに「それでは反省にならない」だとか、「何でそんなことをやったんだ」とか、行為を否定するようなツッコミにしてしまうと、話が転がらない。アドリブ芸の鉄則「相手のやったことを絶対に否定しない」の基本だけれど、太田という人選は、ちょうどいいと思った
  • 芸人のツッコミパートでは、もちろんSMAP の全メンバーの顔がアップになるんだけれど、誰1人としてカメラ目線を出さない、というのが逆にすごいと思った。あの人たちはプロだから、たぶんカメラの位置ぐらい、目隠しされたって体で分かっているだけに、みんなうつむいて、怒られた子供みたいに微妙に目をそらして、太田が毒を吐いて、それを笑いに変えるまでの間は、黙ってた
  • 草なぎは、本当に一歩も外に出なかったらしい。「朝8時、早いときには5時に起きていた」「外に出ない分、いろいろなことを考えた。これからどうやって生きていこう、何をすれば一番いいのか、とか」「男らしく生きる、ってどういう風に、そもそも男らしいとは」こういう「苦労」系のエピソードは時々入るんだけれど、長くてもせいぜい3分ぐらいで、それをすぐに誰かが茶化してた
  • 番組を発信する側の人が、お茶の間の皆さんを信じてないと、ここでまじめな話題を引っ張って、あまつさえ「彼はまじめなんです」なんて余計なフォローを入れて、空気がだれたと思う
  • 中居と木村は、最初と最後以外は電話をとらなかったらしい。残り2人のメンバーが親密さをアピールするのとは対照的。みんな大スターだから、それこそどんな振る舞いをしても、全方位的に突っ込まれるのは明らかだから、あらかじめ、親密さも厳しさも、あらゆる方向の振る舞いを、メンバー自らが分担していた印象。お茶の間で見ていても、誰かの振る舞いに乗っかれる
  • 番組終盤のSMAP メンバーコメント。この事例を「成長の機会」と総括していたのは、上手だと思った。「反省」では、前に進めないし、番組を通じて、たしかに過去の不祥事を上手にディスクローズできていて、これ以上「反省」をする理由もない。「反省」が使えなくて、「忘却」はもちろん駄目で、このとき「成長」と、それに対して「ありがとう」というメッセージを送るやりかたは、アイドルならではで、上手だと思った
  • さすがにこれは、誰かが脚本を書いているのだろうけれど、不祥事から復帰したメンバーを、かばいつつも主役に仕立てて、不祥事を隠さずネタにして、それを突っ込んで、笑いに、視聴者からの支持に転化させる、この番組は、精密な外科手術を見たような印象を持った
  • リスクコミュニケーションを行うときには、隠してはいけない。相手が求める情報を隠してしまうと、相手はそれを臆測するし、ねつ造するし、痛くもない腹を探ろうとする
  • 発表は「面白い」ものでなくてはならない。それを周知して対価を稼ぐ人たちは、たとえ正しい発表であっても、それが面白くなければ、「面白く」してしまう。今回のこの番組は、隠さず見せて、しかも一番笑えない部分はしっかり回避して、メンバーに対して太田にまじめに突っ込ませて、しかもそれを笑いに変える仕事については、太田の手腕を信用した。不祥事に関して、SMAP は一方的に情報を出す側であって、誰1人、それを茶化す側に回らない、こういうのはできるようでいて、相手をよっぽど信用していないと、あるいは精密な脚本作って、打ち合わせをきっちりやらないと、できないことだと思った
  • 反省というのは、やり過ぎても、足りなくても、「お茶の間」を敵に回す。ユースケサンタマリアの「剛がやらかしましてね」という言葉の感覚、あるいは太田の「悪い奴ばかり」という言葉の感覚、どちらもプロの仕事だと思った。コップの水が、足りないわけでもなく、あふれるわけでもなく、ちょうどすり切りいっぱい入っているような充足感を感じた
  • こういう番組こそ、ニコ動で見たかった。たぶん番組の「文法」みたいなものがあって、それをリアルタイムで解説受けながら番組を見直すと、リスクコミュニケーションというものが、勉強になるような気がした