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2009.08.08

見栄と嫉妬の行動学

経済学は、人の振る舞いを、「利得」と「リスク」とのバランスで説明しようとする。

「利得」とか「リスク」に対する感覚というのは、どちらかというと個人的なものであって、 ネットワークを作った人、「社会」の振る舞いは、しばしば「利得」と「リスク」では説明がつかない。

恐らくは「見栄」と「嫉妬」という判断軸を導入することで、ネットワーク化した人の群れに見られる、 「経済的に不合理な行動」というものが、説明できるような気がする。

個人に不利で、社会にとっては有益な振る舞い、しばしば「利他的」と表現されるこうした行動は、 「見栄」によって駆動されるものだろうし、社会にとって最悪な、しかも本人にとっても、 それが必ずしも個人の得にならない行動というのは、たぶん「嫉妬」によって駆動される。

「嫉妬する上司」問題

たぶん「部下に嫉妬する上司」というのがいる。こういう人たちはしばしば、自らの土台もろとも、 組織を潰してしまうような決断を下してしまう。

能力主義の組織においては、そこにいる人は、能力の限界まで出世することになる。 平社員の時には有能であった人物も、出世することによって、どこかで「無能な上司」となって、そこで出世が止まる。

「上に行けなくなった上司」というのは、その地位において無能になった人物だから、 その場所でたいした仕事ができるわけでもなく、かといって下には戻れない。 悪いことに、自分が有能であったその場所には、もっと優れた若手が座っていたりする。

こういう状況に陥った上司は、たぶん部下に嫉妬する。嫉妬という感情を認めてしまうと、 上司は自らが無能であること、後続の若手に「負けた」ことを認めてしまうことになる。 無能が嫌なら努力すればいいんだけれど、「努力」は同時に、「嫉妬」という感情の存在を 裏付けてしまうから、ジレンマに陥った上司は、だから「一発逆転」を狙う。

現場を回している部下が聞いたら鼻で笑うような、どうしようもない提案をするコンサルタントが、 たとえばカタカナ成分の多い、海外で評判とか、裏を返せば国内での評判は最悪の、 そんな提案を現場に持ち込む。

現場はもちろん猛反対して、上司もまた、その提案が荒唐無稽であることぐらいよく分かっているのだけれど、 現場の反対は、むしろ上司の背中を押して、コンサルタントの提案は、上司の支持を得て、現場に導入されてしまう。

嫉妬の脆弱性

競争に「負けた」人間には、もはや「信じる」ことでしか、状況を変えられない。

それがどれだけ荒唐無稽な提案であっても、有能な部下が「信じない」ものを「信じる」ことで、極めて低い確率ながら、 上司は努力を行うことなく、自らの嫉妬を認めることなく、嫉妬の対象たる部下を「逆転」できるかもしれないから。

特定の何かを見てるわけじゃないけれど、何となく、こういう傾向はいろんな場所にあって、 「会社」だけでなく「家族」だとか「クラス」だとか、たぶんいろんな組織が、「嫉妬する上司」という脆弱性を抱えているのだと思う。

なにかゴミみたいなプロダクトを、そんなものを必要としないような、安定した組織に売りつけようと思ったならば、 まずは「嫉妬する上司」にあたる立場の人を見つけ出して、その人に「逆転」の可能性を説くと、 きっと上手くいく。

認めると楽になる

「見栄」や「嫉妬」は可視化されないし、たいていは、それを抱いた本人も、 それを「ない」と否定する。

それを「ある」と認めたなら、たぶんその人は合理的に、肩の力を抜いて振る舞えるんだろうけれど、 それを認めたくないという思いが、嫉妬をして、見栄をして、極めて不合理な行動に、その人を駆り立てる。

恐らくはそうした感情を「ある」と表明してしまうことが、世の中を楽にやっていく秘訣みたいなものに つながるんだけれど、何かを「うらやましい」だなんて、嫉妬を表明できる人というのは、 あるいは相手にどこかで「勝って」いるからこそ、それが表明できるのかもしれない。

「妬んでも1人」、「嫉妬しても1人」という状況下で、どれだけ「嫉妬の表明」を行ったところで、 それはなんの解決にもならないから、「妬みの積極的表明」という行為は社会から全然自由になれていないし、 行為それ自体には、なんら治癒的効果はなくて、大事なのは行為でなくて、 そういう立場にいることのほうなのかもしれない。

嫉妬の行動学みたいなもの

「見栄」と「嫉妬」を上手につつくやりかたというのは、たぶん広告の人たちが詳しいんだろうけれど、 「嫉妬」という切り口で人の振る舞い、とくに社会化された人の振る舞いを見直すと、いろいろ 面白いような気がする。

某SNSで教えていただいた、「天皇制はトップに対する嫉妬を避けるための知恵だった」なんて 考えかただとか、「非上場のオーナー企業が案外強い」理由なんかもまた、 嫉妬が隠蔽されるような状況において、嫉妬を上手にコントロールする仕組みが要請された 結果として、特定の組織構造が生まれて、しばしば経済不合理に見えるそうした組織が、 歴史の重みによく耐えて安定していることを、上手に説明できるのかもしれない。

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日本って今でこそガチガチの年功序列制度だけど、むかしは「隠居」っていう乙な制度があったんですけどねぇ。。。
「老いては子に従え」なんてことわざもありますし。

無能な上司の「無能」ゆえに組織はダメになるのか、「嫉妬」ゆえに組織はダメになるのか?

人生において無能な上司の説得に費やしている時間の多さを計算してみると、空恐ろしくなってきます。

もっとも我々の場合、「毎日寝る前に1リットルの水を飲む」とか「血をサラサラにするために××健康食品を食べている」とか「テレビで言っていたナントカ健康法」だとかに取り憑かれた患者さんに対する説得の方が、はるかに多くの時間を使っているのかもしれません。

一方、優秀な部下の芽をつみとる無能な上司にならないように気をつけることも必要ですね。

1番賢いのは、有能な部下を誉めて気持ち良く働かせ、自分は楽をするというパターンじゃないでしょうか。

とはいえ、いつのまにか部下が上司になっている、という事態を受け容れる覚悟も持っておいた方がいいかも。

見栄と嫉妬が経済学を生む?

いや、逆ではないか。
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安売りは結局商売じゃないな

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「めんどうくさい」が一番の「不条理な行動」の理由だと思う。

有能な部下と嫉妬する上司、よく愚痴として耳にする非常に典型的なお話ですが、実際にはレアなケースではないかと思います。
実際の処、将来有能になれるかも知れないが現時点では勘違いしている部下と、以前有能だった(かもしれない)が、今は凡俗になって嫉妬している(或いは、当人の経験則などに基づいて当人なりの指導しているつもりの)上司ではないかと感じています。
実際、私の職場でこのケースが発生し、社長が私の部下をクビにするという事態に発展しました。解雇された部下は、私より年上の部下の指導に心酔し、従う傾向が強かったのですが、年上部下は製品設計をした事はほとんど無く、理屈や理想を捏ねるのは得意ですが、実際の品質や効率は高くありません。
その年上部下のコピーのように設計品質は並なのに効率が非常に低く、実作業は駄目だったので、何か製品の実績を早く作るように色々と手段を講じましたが、当人は基本的に課長の判断や指示では行動せず、会社としての判断などが出ない限り(失敗時の言い訳の担保が無い限り)動こうとしない、自分からリスクを負わない、待ちの姿勢が強い部下でした。
有能な上司、というのが一体どのような定義か私には判りませんが、大抵の職場にいる上司というのは有能でも無能でもなく、平凡なレベルの上司なのだろうと思います。平凡なレベルなので、指導に向いているかどうかは、別だろうと思います。上司自身、それぞれにミッションが有るわけで、それを或る程度こなした上で、全ての部下が納得し、成長するような指導が出来るかというと、かなり疑問符が付きます。その上司のミッションがクリアできず、最悪の場合、異動や転勤、降格になり、他にその部署を背負える人材が会社にない場合は、ある種聞き分けのない部下の面倒を、自分の人生を掛けて、いつまでも見ていることは出来ません。伸び代のある部下を優先します。私は有能ではありませんが、聞き分けの悪い部下にはさっさと見切りを付けました。
今回クビになった部下は、私や会社の非難を表立ってはしなかったようですが、後から知りましたが裏では色々としていたようです。また、私を陥れようとしたのか、私自身への報告と、会社への報告が異なることも、社長は掴んでいました。
クビになった部下を出したことには、私は残念に思いますが、当の元部下には憐れみも感じません。ただ、どこかで事件を起こしてくれるな。と祈るばかりです。