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2008.11.20

「下向き」の想像力について

頭がいい人が、「上」に向かって想像力を働かせて、それまで誰も考えなかったようなサービスを作る方向と、 同じく頭のいい人が、「世の中には想像を絶する馬鹿がいる」という信念の下に、 カモをコントロールするやり方を模索する方向と、想像力には「上」と「下」みたいな方向性がある。

上向きの想像力が生み出すプロダクトはすばらしいけれど、世の中を回しているのは、 むしろ下向きの想像力なんだと思う。

振り込め詐欺のこと

振り込め詐欺の人達が使う手口はあまりにもあからさまで、どうしてあんなものに大勢が引っかかるのか 不思議でしょうがないけれど、詐欺の秘訣というものは、「たくさんの人に電話をかける」、 それが全てなんだという。

常識的な人達は、たぶん「こんな話に騙される人が世の中にいる」という、 そのこと自体を信じられない。信じられないから、あんなことをやろうなんて思わない。

振り込め詐欺にかかわる人達は、たぶん「世の中には絶対にカモがいる」と考えていて、 1 日に数千人とか、「カモ」に当たるまで電話をかける。

振り込め詐欺の手口というのは、あたかも会社勤めの人と同じく、すごく「勤勉」にやらないと 成功しないらしい。その勤勉さを支えているものこそが、あの人達の「下向きの想像力」なんだと思う。

「金払いのいい阿呆」が社会を回す

「パチンコ業界が危ない」なんて特集で取材されてたお客さんは、年間40万円ぐらい借金して、 たぶん同じぐらいの金額を、パチンコ屋さんで消費していた。今は消費者金融が厳しくなって、 だからパチンコ業界に流れ込むお金も減っているのだと。

借金してまでパチンコにお金をつぎ込むような熱狂的なユーザーは、自分が遊び場にしている ネットサービス界隈にはいない。

今使っているサービスのほとんどは無料のものだし、有料ユーザーとしてお金を支払っているサービスにしても、 月にせいぜい500円だから、パチンコ屋さんとは比べるべくも無い。

パチンコの面白さは自分には分らない。借金してまでパチンコ屋さんにお金を貢ぐ人達は、 だから自分なんかから見ると、「金払いのいい阿呆」に見える。

理解は出来ないけれど、30兆円産業なんて言われるあの業界を回しているのは間違いなくあの人達だし、 すばらしい理念と技術をぶち上げたIT 企業が軒並み失速していく一方で、 技術であったり、顧客の規模なんかでははるかに劣る「出会い系サイト」は、 そうした「金払いのいい阿呆」の支持を得て、確実に業績を伸ばしてる。

「金払いのいい阿呆」は行動する。「バナナで痩せる」なんて声を聞いたら、気前よくバナナに殺到するし、 メディアが推薦する、雰囲気のいい候補者がいたら、気前よく自分の時間を費やして、選挙会場に足を運ぶ。

上向きの想像力は響かない

ネット界隈の、ブックマークがたくさんついているような、冷静な、「頭のいい」意見は、 「金払いのいい阿呆」の心には、全くといっていいほど響かない。

たぶん政治家の人たちは、「俺は頭がいい」なんて、世の中に距離を置く意見を持つ人を、 顧客として想定していない。政治家が大事にするのは、号令かけたら集まって、 鉢巻きを巻いて、スローガンを受け入れて、腕を振り上げて叫ぶ人達であって、 政策を「分析」する人間なんて、そもそも求めていない。

社会には、「祭りを見る人」と「祭りに参加する人」とがいて、祭りに参加する人の中に、 さらに「御輿を担ぐ人」がいる。

パチンコ業界を繁栄に導いて、IT 企業としての出会い系サイトを繁盛させて、 やせるためにバナナを買って、選挙があれば素直に投票場に行くような、お金を払ったり、行動したり、 自らのリソースを支払うことに気前のいい、「御輿を担ぐ人」達こそが、社会を回す。

google だとか「はてな」だとか、世界を相手に巨大なサービスを展開する企業は、 観光客として祭りにきて、焼きそば一つ買わないで、デジカメ片手に祭りを観察する人達のほうにばっかり 目を向けていて、祭りを本当に盛り上げる人達、祭りに参加して、祭りを作って、お金を払って、御輿を担ぐ、 そんな人達の方向を向いていない気がする。

google だって成功した企業であることには間違いないけれど、莫大な資本を投下して、 あれだけのインフラを構築した割には、得られたお金は決して多くない。なんだか効率悪く見える。

「現金工学」みたいな学問を見てみたい

ある状況によって生み出された人々の行動を、「お金」に変えるやりかたというのは、 まだ「学問」の形で体系化されていないんだろうか ?

経済学には、「マネタイズ」というカタカナ言葉があるみたいだけれど、 「こういう状況ならこんなやりかた」みたいな、方法論が体系化されていたり、 定説が作られていたりと行ったイメージとはちょっと違う印象。

自分は会社を経営しているわけでもないし、本業以外のビジネスを手がけたこともないけれど、 「ビジネスをしている人」だとか、「お金を稼ぐやりかた」を見るのが好き。

どんなやりかたが興味を引くのか、企業家の人と、自分みたいな外野と、 また全然違うんだろうけれど、このあたりは個人の感覚として、 「お金の匂い」のしてくるやりかたというのがたしかにある。

「コミュニティでタイアップ企画」とか、「ユーザーと商品開発」とか、「Win-Win」とか、嘘だと思う。 そんな理念はたしかにすばらしいけれど、やっぱりお金の匂いがしないから。

ネットサービスが収入にしている「広告モデル」なんかも、本来は正しい現金化手法が 見つかるまでの「つなぎ」でしかありえなくて、あれをゴールに据えるのは、どこかおかしい。

  • どんな「カモ」がいるのか。どんな「カモ」を想定するべきなのか
  • 人を「金払いのいい阿呆」にする状況をどう作り出せばいいのか
  • 「金払いのいい阿呆」になった人々を、どうやってコントロールするのがうまいやりかたなのか

「下向きの想像力」に優れたいろんな分野の人達が、お互いの知恵を持ち寄って、 こんなテーマを語りあったなら、きっとすごく面白いことになると思う。

Comment & Trackback

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これは、たぶん、想像力が「下向き」なんじゃなくて、自分自身を、下に下げて、そっから上向きに想像力使ってるんですよ。
だから、自分の立ち位置を相対的に変えることの上手なひと、ってことだと思います。
自分自身の立ち位置を変えずに、「カモ」とか「金払いのいい阿呆」とかと視てるうちは、想像力は生まれてこないんじゃないのかな?

Googleが下を向いているのだとしたら

はてなに関しては禿同だけど….
「下向き」の想像力について – レジデント初期研修用資料google だとか「はてな」だとか、世界を相手に巨大なサービスを展開する企業は、 観光客として…

>> どうしてあんなものに大勢が引っかかるのか
>> 不思議でしょうがないけれど

振り込め詐欺は、判断力が低下してきた老人で、
かつ一人暮らし(子供と別居)というケースで、
被害が多いようです。

判断力の低下は、その事実自体が本人に認識されず、
周囲がそのことを伝えるのも困難です。

核家族化と高齢化によってますますこの傾向は強くなる
と思われます。

こういう人がだまされるのは不思議ではないように思います。

下向きの想像力のようなものは確かにあると思います。ただ、上向きの想像力と違って、下向きの成功手法の基本は「アンテナ」と「質の高い模倣」、そして「勤勉さ」なのかなというのが商売やってる身としての実感です。
上向きの想像力ほど、下向きの想像力方面には先行者利益が無いんですよね。なぜなら、下向きで規模の追求を始めると、社会との軋轢が生じる場合が多いですし(それを回避するには、政治家や警察と手を結ぶ必要があります)、先行者であることの宣伝はむしろマイナスになるので。
こんな阿呆がいるよ、という情報を捕まえる「アンテナ」があり、その阿呆の本質を把握したら「質の高い模倣」を「勤勉に」行えば、本当に下向きの想像力を持ってる人を追い抜くのは案外簡単です。
そういう意味では、振り込め詐欺が増えたのはマスコミによって手口が報道されたからでしょうね。

あと、googleは下向きの想像力を持っていると考えることもできると思います。「検索したときにスポンサーリンクをクリックしてしまう人」が収入源なのですから。それに、「得られたお金」という観点ではなく「得られた時価総額」という見方をすれば、製造業などより遥かに効率は良いかと。
なお「コミュニティでタイアップ企画」「ユーザーと商品開発」はエヴァンジェリストに憧れる人を口コミの起点とするための宣伝手法の一環、「Win-Win」は自分の商売が汚いなと自覚してる企業が相手を(あなたも勝ってる側ですよ)と騙すための広告だと考えると、お金の匂いはぷんぷんしてきます。
そして今、ネットサービスを展開する会社にとっては、ネットに広告を出してくれる企業こそを「カモ」と想定しているのではないでしょうか。

時価総額それ自体を膨らませるのが目標なら、googleの中の人達が「カモ」にしようとしてるのは、あるいは投資をする人達なのかもしれませんね。。

もはや「上」とか「下」なんて方向要素持ったたとえ話では、射程不足。

GoogleAdsenseで考える「ひと・もの・かね」の動き

「下向き」の想像力について(レジデント初期研修用資料)を読んでみて、納得できる点が多かった。でもGoogleは結構「下向き」の想像力があると思います。GoogleAdsenseというビジネスモデル…

[...] 2008年11月21日のブックマーク 「下向き」の想像力について – レジデント初期研修用資料 [...]

[...] 2008年11月21日の気になったもの 「下向き」の想像力について – レジデント初期研修用資料 [...]

[...] 「下向き」の想像力について [...]

なんでも無料で提供するということは確かに下向きで、そのコストはどこかに転嫁されている訳で無料とは決してすべての人を裕福にする方法ではない。

逆に金融工学の世界のように形のないものをレバレッジなどで膨らましたりリスクを転嫁して売り付けいかにも価値のあるように見せかけることで過剰な流動性をもたらすことも、実態のないものがあまりに巨大化してしまう故の危険性は現在の経済危機を見れば明らかです。

どちらも面白いけどある程度バランスを保つことが必要なのだと解らせてくれます。

>ある状況によって生み出された人々の行動を、「お金」に変えるやりかたというのは、まだ「学問」の形で体系化されていないんだろうか ?

これはビジネスモデルという言葉が近いと思われますがどちらかと言うとビジネスモデルはどこで利益を出しているかというような事後の分析が多いですね。
こうすれば必ず利益をもたらしますという方法が確立されていれば誰でもお金持ちになれてしまう。

最近の行動経済学やヒューリスティクス、ニューロサイエンスなどの研究を見れば人がいかに簡単に錯覚に陥り必ずしも合理性を最優先に決定している訳ではない動物かということが解って来ていて面白いですね。

決して一番お得な訳ではないのにテレビショッピングで物を買ってしまう心理を分析している本がありましたがあれにも色々な心理的テクニックが多用されています。そしてそれが振り込め詐欺の心理と共通点がいくつもあることも面白いなと感じたりしています。

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[...] Excel memo at 2008-11-22 土曜日, 11 月 22nd, 2008 | メモ 「下向き」の想像力について – レジデント初期研修用資料 [...]

Googleなどのネット企業が上向きの想像力で儲けているとは思えません。あきらかに下向きの想像力を働かせてカモを探し回っているでしょう。
いかに頭の弱い投資家から金を出させ、頭の弱い長けた技術者を手にいれ、頭の弱い広告スポンサーを引き入れ、頭の弱い利用者にクリックさせるか、というところに全力を注ぎ込んでいます。

海外でリーマンのミニボンドを売りつけられたご老人たちが沢山いて、当然ながら老後の蓄えを失ってしまったんですが、これも下向きの想像力のひとつでしょうね。金融危機の1年くらい前から金融業界内部では「現金で持ってた方がいいよねぇ」ってのはずいぶんと言われていて。リレーションシップ・マネージャーというのは基本的に顧客の利益よりも会社の利益を考えるわけで、それが理解出来ないとカモられますね。
上向きの想像力って例えばトヨタの“走れば走るほど空気が綺麗になるクルマ”、“無給油でアメリカ大陸を横断できるクルマ”、“決して事故を起こさないクルマ”、“乗れば乗るほど健康になるクルマ”とかね。その過程に出てきたのがプリウスで。じゃ、それが響かないと言えばそうじゃないでしょ?売れてるじゃない。

時間の経過を念頭に置くと、早い段階で行動して商品やサービスを享受した層と遅い段階で商品やサービスを享受した層とで利得の密度には差がある場合がある。
ブームになる前からその特定の商品を探し出して手に入れている人々は圧倒的にそれを必要と感じるスピードよりも必要と感じる時間が早い。
どんな場合でもネズミのような行動力とスピードがあると一番早い段階で商品やサービスを手に入れてしまうが、それは必要と感じる時間が圧倒的に早いから探しに行くのも早い段階から探し始めるために手に入れるのも早い。
振り込め詐欺は心理戦を際限なく戦っている詐欺師からの電話をどう処理するかということで防止可能で、彼らに10%の失敗率があるのは電話を掛けた相手の10人に1人はその心理戦に恐ろしく強いからで、勤勉に無数の人々に電話するのは電話でセールスする商売ではその電話を掛けるのは新人の仕事であるから、そこで心理戦の練兵を日夜行っているわけで、そのノウハウを詐欺に応用したに過ぎず、訪問販売で詐欺をしていた人々が振り込め詐欺に参加したからここまで広域かつ多数の被害者が出ているのだろうと思う。
ここでもネズミのような詐欺師が一番早くに儲けていて、彼らは新たなタイプの詐欺を出来ないものかと今頃は研究しているものと思われる。

「振り込め詐欺」にしろ「パチンコ業界」にしろ、貧富の差が少なく、老人がやたら金を持っている日本って国の特徴かな、って気がします。だって、お金をたくさん持っているのが基本的にアタマのいい人って社会ならこんなことは起きないでしょうから。あと、日本って一部の金持ちをターゲットにした商売も少ないような気もします。

Σ|D<子供の時から洗脳して大人になったら回収するのがいいやり方です

 私は逆だと思うな~。「広告モデルが現金化手法が見つかるまでのつなぎ」なのではなく、「貨幣制度こそが情報化社会が完遂するまでのつなぎ」だと思う。情報化社会がもっと進んで、貨幣でできる事を情報網が実現可能になれば、いらなくなるのは貨幣の方です。実際、資本主義は造幣するのが手間です。
 そこで出てくる別の観点は、「価値を量的に数値化した要素としてみる、交換の制度」ではなく、「価値を単子として扱い、限定された範囲を維持するためのコスト」として見る方法です。
 分かり易くいうと『国富論』ですね。例えば、コンピューターの性能は日増しに向上していき、価格も下がっていきます。しかし、性能向上と価格低下で、経済規模が小さくなった事を嘆くことはないでしょう。小さくなった分の経済効果の縮小は効率化と見ます。100億円の産業が10億円になったのは経済の収縮、と見るのではなく、10億円でも100億円と同じだけの効果を生んでいる、とも言えるのです。
 実際、「コンテンツを享受する人」と「コンテンツを維持する人々」は分離が始まっています。今後はコンテンツを維持する人だけが税金やお布施のように大量に費用を支払う一方で、享受する人は無償で文化的な生活が営めるように、二極化していく事でしょう。そうなると交換を機軸とした貨幣制度は(部分的にせよ)終焉を向え、ある限定された範囲を維持するためにコストをかける情報社会へとなっていく事でしょう。

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日本の企業が軒並み下降線なのも、これと同じ。

号令に踊るバカを、無能と割り切ってリストラしてるから、
自分勝手に自己利益追求する「賢い」人間ばかりが残っているからだろう。

そのようにリストラされたり、そもそも就職できなかったような連中は、「派遣会社」にいいようにピンハネされて、バカを利用する業界はウハウハである。

大企業側は、「そんなに酷くピンハネされているなんて知らなかった…」と、くそ真面目でバカだけど従順な人間を、「払っている給料分は働け」と手取りに見合わない重労働を課している。

「優秀な人間を育てて優秀な人間を集めれば、発展する」
というある意味常識的な定理が、その根本から間違っているってことだろう。

それを未だ知っていた日本は、あの時代、高度経済成長を遂げられた。

「斜め上向き」の想像力

久々に色々と勉強になるブログ記事があったので、ご紹介。

「下向き」の想像力について by レジデント初期研修用資料
>頭がいい人が、「上」に向かって想像力を働かせて、それま…

[...] 「下向き」の想像力について – レジデント初期研修用資料 馬鹿を相手にする金の稼ぎ方と(自分達)頭の良い側のビジネスモデルの違い、というか上から目線の愚痴か。そもそも金稼ぎ [...]

>振り込め詐欺の手口というのは、あたかも会社勤めの人と同じく、すごく「勤勉」にやらないと成功しないらしい。

キャバクラは短時間・高収入と言われていますが、こまめにメールしたり、お客と会話したことを後でメモして情報をまとめたりと、№1のキャバ嬢は実は「勤勉」というような内容のテレビ番組を見たのを思い出しました。

もとよりWin-Winは「三方よし」と全く同じで、目先のカネ儲けに枷をはめるものなので、カネの臭いがしないのは当然なんじゃないかなー。

たしかに。。

 世に盗人の種は尽きないわけですが、しかしそれが社会を回している大きな成分か? と考えると、これからますますそうではなくなっていくと思います。何故なら単純に、顧客の層の厚みです。ネットワークが便利なものだ、と知っている層は今後壊滅的な事態が起こらない限り、当分減少しないでしょう。ネットワークは情報の市場として機能します。巨大で高速な市場システムが、いかに強力で無慈悲なものか、我々はある程度まで知っているでしょう。市場による経済的淘汰圧は、絶滅と進化を惹き起こします。
 金払いのいい阿呆は理想的な顧客です。なにがしたいのかわかっていないのにシステムを作れというクライアント。トッピング山盛りのコーヒーを頼んでくれる奴。ブランドをやたらと高く評価してくれる連中。しかしそんなカモがいつまでも繁殖していてくれるわけではありません。労働市場の拡大によって、給与水準がますます減ることは確実です。しかし、様々な財やサービスの効用もまた、ユーザーが増大するほど増殖していくはずです。使い古された言葉ですが、ネットワーク外部性ですね。無論これが働かないものもありますが。
 卑近な例ですが、ニコニコ動画を考えてみてください。それは確かに災害耐久性や、法務や資金力や番組制作力などで必ずしもキー局に勝っているものではありませんが、ある部分では確実にキー局のもたらす効用を上回っています。たったの年間売り上げが40億前後の会社であるニワンゴが。ですから、googleやはてなもそうですが、これはイノベーションのジレンマの一形態です。経済的価値は結局の所、定義的に情報や手段や権利やハードウェアや資源の希少性の上に成り立っているものです。従ってビジネスは、いかにそれらを自由に流通させないか、それらの供給を制限していかに自分が制御するかに腐心してきました。さもなくば商品はコモディティとして、大競争に巻き込まれるでしょう。
 このような展望はある意味で絶望的です。何故なら個人の労働力が生活可能な限界まで、場合によっては限界を下回る水準までしか市場において評価されないということがしばしばあり得るからです。
 しかしまた、ある資金で利用できる効用もまた増大していくだろうという期待もあります。例えば医者にかかるのは高額だけど、現在の簡単な問診に相当する程度の診断は謎のエキスパートシステムで無料。そこで広告される医薬品は原価ぎりぎりで買えるようになります。とか。重病になったら保険を使ってね、とか。あるいはお医者さんの給料もめちゃめちゃ下がりますよ、とか。