2004年12月 9日

テキストデータについて

ファイルメーカーモバイルやDOCアプリを使う人たちへの反論。

自分の技術は進歩する。この数年で、テキストを打つ道具は単なるメモ帳からテキストエディタへと進歩し、印刷原稿にはLaTexを使うようになった。さらに、印刷のためにPDFデータをtexから生成できるようになり、現在ではtexから直接HTMLを作り、ネットで公開できるようになった。

テキストデータは、無限に応用が効く。世界のどこかには、必ず自分より上手な人が自分のノウハウを公開している。自分の文章をテキストファイルで保存していると、何かやりたいことができたときにもすぐにその方法を検索することができる。

DOCやファイルメーカーのデータのような、特定のソフトに依存したデータは、その応用例を公開している人が少なく、自分のやりたいことを実現するために自分の頭で考えなくてはならない。


機械は進歩する。Palmのような貧弱なハードウェアの上では、テキストファイルの全文検索は時間がかかり、実用的ではなかった。ファイルメーカーやKDICのようなデータベースソフトは、こうしたハードウェア上でも軽快に動作したが、tungstenをはじめとする最近のハードウェアの場合は、こうした速度面での優位性は失われつつある。

一方、Palm上で作った文章をPC上で加工する場合には、テキストファイルの移植性が生きてくる。テキストエディタ上でPalmのデータファイルを開くだけで、その文章の加工は何でもできる。これがDOCデータのようなバイナリデータであると、Palm上のデータをPC上でそのまま開くことが難しくなる。


本当は、Palm上で動く文章量制限のないテキストエディタが出てくれれば一番うれしいのだが…。すべての情報を1つのテキストファイルで管理して、そのつどGrepして過去のデータを参照できたり、簡単なTagでハイパーリンクを張れたりできればもうそれで十分。

Palmのメモ帳にPalmWikiを組み合わせるとかなりそれに近いものになるが、Palm上でのテキストの一覧表示ができないのが難。howmのようなPalmアプリは無いものだろうか。

2004年12月 6日

普段のPDAの使いかた

梅棹 忠夫 知的生産の技術から。


ひらめきの定着にメモがやくにたつ。

全ての情報は分類してはいけない。配列する。一番いいのはアルファベット順に配列して情報の所在地を決めることである。

一度配列のシステムを確立すれば、検索はいくらでもできる。

全ての情報はテキストデータで記録し、可能なら一つのファイルにまとめる。一つのテキストデータであれば、後々自分の技術の向上に伴い、いくらでもデータを検索、加工が可能になる。

これが複数のファイルにまたがるバイナリデータであった場合、後でデータを別の目的で利用しようとしても困難である。

Palmは、だいたいこの方針でいろいろな情報を管理できる。

患者の電話番号や病名、日常のメモやアイデア、臨床に必要な知識のメモなどは、全て単一のメモデータとしてテキストエディタでPC上で閲覧することが可能。Palm上でも全文検索が一応可能。


普段のPDAの使いかた

アドレス帳、予定表、ToDo?といった電子手帳の普通の使い方と合わせ、自分は以下のものをPalmにいれて持ち歩いている。

薬のデータベース(Pdrug)

抗生物質のガイドライン(Johns Hopkins 病院のもの)

POOK(docリーダーとして)

Progect(学会準備などの進捗状況表がわり)

英和辞書(Kdicに英辞朗を入れて)

これ以外のデータ、例えば患者さんの簡単なまとめ、日常で見聞きした医療情報、何か思いついたときのメモなどは全てメモ帳に放り込んでいる。メモに書き込む患者さんの情報などは特にフォーマット等は作らず、その日の気分で適当に打ち込んでいる。

このままではメモが雑然と積み重なっているだけであるが、例えば予定表に患者さんとの面談予定が入っている場合、この予定に件の患者さんのデータ、病気に関する覚え書きなどのメモデータにハイパーリンク(PalmWikiLinkPakを併用)を張っておくとメモが有効に生かせる。

また、日時、病名、キーワード等で特定のメモを探したいときは全文検索ソフトの Q-pocketを利用することで間に合わせている。

情報整理といえばデータベースソフト、患者情報も全てデータベース化し、几帳面に管理している人もいるが、これを長く続けるのは大変で、また将来的な応用も利きにくいと思う。データベースってはその設計が意外に難しい。どのようなデータを含む、どのような構造のデータベースにするのかを最初に設計しなければいけない。後になってこうしておけばよかった、といったことが出てきても、全てのデータを訂正しなくては使い物にならない。

データを単なるテキストファイルで管理した場合、データベースソフトに比べると検索速度は遅く、また適当に情報を記入しているといくつかのキーワードを試さないと情報が出てこないかもしれない。

しかし、テキストデータはさまざまな応用が効く。使う人のスキルが上がれば、テキストデータを効率よく加工するすべはいくらでも見つかる。検索スピードが遅いことについても、1年も我慢すれば同じ値段でもっと早い PDAをどこかが発売してくれる。ファイルメーカーのようなデータベースソフトを用いた場合、機械を乗り換えたときのデータの移行が難しいことがあるが、テキストデータならそういった心配は皆無となる。

2004年12月 5日

Palmについて

ここ2年ほど使っているPalmについての覚え書き。

研修医の頃は、当時のチーフレジデントの先生方が出たばかりだったザウルスを使い出していた。当時のザウルスの性能で本当に便利だったのかは疑問だが、ある日「みんなにも普及させるため、これからは申し送りはザウルスでやります」との宣言が出されたことを覚えている。

申し送りが始まると、上級生の何人かは黙ってザウルスを近づけあい、赤外線通信で情報交換。ザウルスを持っていない下級生は黙ってみている。あまりにも評判が悪かったのでこの申し送りは数回で終了、元のメモを回す形に戻った。

以降、何年経っても電子手帳を使う機会もなく、またこうしたデジタルガシェットを愛用していた先生方もそのうち使わなくなってしまい、自分の周囲からは電子手帳ユーザーは消えた。一時シグマリオンを全員で買った学年がいたが、それも1年で終了。当時の病院が忙しすぎて、メモ代わりに使うには入力スピードが追いつかず、辞書代わりに使うにはソフトがあまり多くなかったのが原因だったのだろうか。

この間、自分はといえば1週間ごとに何でも書き込める紙を1枚持ち歩くのみ。用件を片端から記入していって、終わったらボールペンで横線を引いて消すだけ。長期間のスケジュールを立てる必要はほとんど無かったし、医事科がしっかりしていたので24時間患者さんのことならどんな情報でもすぐに出てきた。

病院が大きなところに代わって、状況は一変した。仕事に余裕ができた代わりに、学会だ原稿だと締め切りが決まる予定が入ってくる。患者のカルテはなくなるし、外からの問い合わせ電話は何も言わずに主治医に直接回してくる。自分で患者さんの病名と住所、ID番号、次の外来日ぐらい把握していないと何もできなくなり困惑した。

この病院の上司がザウルスを使って患者さんの情報管理をされており、非常に便利そうに見えたこと、この頃たまたま、Palmのm500が値崩れして2万円を切っていたので、いい機会なので購入してみた。最初はとにかくスケジュール管理ができて、数十人分程度の患者さんの簡単な情報を整理できれば十分と思っていたが、少ないメモリー、遅いCPUにもかかわらずさまざまなアプリが発表されており実に面白い。

最初にPOBoxというアプリの発想のすばらしさに驚いてから以後、当初の目的はどうでもよくなり、2ヶ月ぐらい色々なアプリをいれて遊びたおした。結局はKDICとpdrug、英辞朗の英和辞典、MedCalc、PalmWikiとQpocketの組み合わせに落ち着いた。

m500を購入してすぐにPalmは日本を撤退、クリエはメモリースティックを強制している時点で絶対に使いたくなかったこともあり、辞書が大きくなるほどPoBoxの動作が鈍くなるm500に限界を感じた頃にTungstenEの購入を決めた。

Tungstenを購入してから1年、画像をまったく使わないので内臓メモリーだけで特に困ることもなく、スピードが遅いと感じることもほとんどなく現在まで使っているが、慣れると手放せなくなる。画面照度をAutoDimmerなどで暗くすれば1週間ぐらい充電しなくても平気で動作するし、当初は違和感のあったGraffiti も、慣れると手書きとほとんど代わらないスピードが出る(Graffiti 1に換装しているが)。

ほとんど気にならない程度の大きさで、薬の本と辞書、ほとんど無限に近い大きさのメモ書きスペース、アドレス帳が常に手元にある便利さは、今の病院で生活していくためには欠かせない。

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