2007年6月14日

公理の壁を越える技術

助産院のこと

  1. 母と子の絆は何よりも大切。分娩後直後は臍帯を切らないで、 お母さんの血液を子供に分けてあげるべき
  2. 娩出後の子供に過剰な臍帯血が流入すると肺水腫を生じてしまう。臍帯は速やかに切断するべき

西洋医者は2 番の立場。子供の肺は大切。

けっこう多くの信者さんを集めている某助産院は、1 番の立場。絆が大事。

絆理論」はシンプルで一貫している。

血液を分けてあげたら、その次は母体とのスキンシップ。 カンガルーケアといって、生まれたばかりの赤ん坊をお母さんに抱きつかせて、 すぐに母乳を与える。その後の育児とか、赤ちゃんとの接しかたとか。すべてはから。

「絆理論」で子供を育てても、頑丈な子供なら、とりあえずは死なない。 多少の肺うっ血は乗り切れるだろうし、 生まれてすぐだと母乳は誤嚥するだろうけれど、運がよければ助かるし。

運が悪くても、たぶんそれは絆理論のせいではなくて、 お母さんの心がけが悪かったか、あるいはきっと、病院の医者が悪かったから。

「絆」と「科学」がぶつかりあうとき

絆が大好きな助産院でも、分娩はやっぱり確率論。たまには具合が悪くなる。

娩出が上手くいかなかったお母さんが救急外来に担ぎこまれたことがあって、 お父さんもお母さんもこの理論を信じきっていて、大変だったのだそうだ。

出てきた子供は、うっ血して全身真っ黒。すぐに臍帯を切り離そうとしたら、 「何をする!!」とお父さん大怒り。

生まれた子供は息してなくて、人工呼吸器が必要で。 小児科の医師が子供を奪うようにして、集中治療室に走ろうとしたまさにそのとき、 「子供と母体を別々にないでください!!」と再びお父さん大怒り。

高学歴のご夫婦で初めての出産。熱心に勉強していて。

夫婦の言うとおりにしたら子供死んじゃうし、 絆が切れて子供が非行に走ったら、医者はやっぱり悪者になっちゃうし。

公理と議論と人格攻撃

「絆理論」に反駁するのは、とても大変。

母と子の絆は大切だよね」という公理がまずあって、助産師さんのさまざまな やりかた、産後の指導というのは、すべてこの公理を前提にして、 そこから演繹的に導き出したもの。理論体系は美しくて理解しやすいし、 理論の背後には、「絆」という、倫理的にも受け入れやすい概念がよく見える。

科学というのは、そのへん適当。

まずは病気の観察があったり、子供を助けるために「こうしたら上手くいった」という経験があって。 経験の集積をうまく説明するために、事後的に理論が作られて、検証するのはさらにそのあと。 その理論もまた、「倫理」に反していたり、複雑すぎて理解を拒む代物であったり。

「絆理論」と「科学理論」とでは、大元になる公理が全然違う。

公理から現場の理論を導くための手続きは同じだし、現場で使う道具とか、処置のやりかたも よく似ているけれど、公理が違う2つの体系は、そもそもお互いに議論を行ったり、 より正しい方向を目指して、お互いの理論を「改良」することなんてできない。

「絆理論」みたいな論理体系は、たいていの場合、公理から現場までの「隔たり次数」が 極めて近い。科学がちょっと気をつかって、「ここ間違ってますよ」なんて指摘しようものなら、 それは公理の全否定につながってしまう。

どんなに小さな変更をお願いしたって、たぶん2 言目には 「あなたは親子の絆を重視しないんですね」とか、 「パパとママの愛情が足りなかったのか、貴様?」 なんて言葉を返されて、 かわいそうな人扱いされておしまい。

相手の体系を変更するには、結局公理の否定が必要で。

たいていの場合、公理の真実性を担保しているのは、それを唱えた「個人」だから、 公理の否定は人格否定につながって。

救急の鉄火場。こんなときに「説得」とか「対話」は無意味。たぶん一番有効なのが、 「かわいそうに、またあの助産院に騙されちゃいましたね…」という一言。

理論体系は階層構造。一番上に「自然現象」があって、観察して考える個人、「人格」があって、 個人が考える「公理」があって、公理から導かれる「理論」があって。

「公理」レベルでのコンフリクトは、もっと上のレベル、「人格」レベルで否定をかけないと、 解決することはたぶん不可能。人格レベルが空白になった宗教、教祖が亡くなった伝統宗教は、 だからしばしば無敵になって、宗教戦争は2000年経っても終わらない。

技術革新は宗教を放逐するのか?

Q: 生きていくのに必要なものって何 ?
A: 存在と意志。あとはただのデータ。
――― 「玲音の日記」から引用

世界に自分という名前空間を宣言して、意志という大きなルールに従って、 すべての単語を重み付けする。データの量が十分に大きいならば、 それはもはや人間と区別がつかない。

POBox というPalm 用の日本語入力ソフトを昔から使っている。

MS-IME や「ことえり」みたいなソフトと違って、POBox は過去の文章を見て、 次に来る単語を確率論的に予測する。

打ち込んだ文章は、辞書内の単語に割り当てられた「重み付け」の変化として記録される。 次に同じ文章を打ち込むときには、「次に来る言葉」の優先順位が変わって、 以前打ち込んだ単語が上位に来る。

たとえば自分のPalm で「かい」と打ち込むと、候補のトップには「海兵隊」が出てきて、 これを選択すると、次の候補には「は」が並ぶ。順番に選択していくだけで、 「海兵隊」「は」「許可」「無く」「死ぬ」「ことを」「許されない」なんて文章ができる。

このソフトが記録する「重み付けがなされた単語群」というのは、コピーされた意識。

調子がいい時のPOBox は、個人の思考を乗っ取る。

自分が考えて文章を書いているのか、それともPalm に文章を書かされているのか分からなく なる時があったり、話の持っていきかたに詰まったとき、 POBoxの候補には、気のきいた言い回しが並んでいたり。

PDBox には、「富豪辞書」という、製作者の増井 俊之 さんが作った辞書が一緒についてくる。

使い始めの状態では、単語の重み付けは、製作者によってあらかじめ決められている。 辞書を使い込んでいるうちに、辞書の中身はユーザーがだんだんと書き換えていくけれど、 このとき実は、ユーザーの意識もまた、辞書の重み付けに影響されて、書きかえられていく。

POBoxのユーザーは、ソフトをダウンロードする。このとき同時に、 増井さんの意識の一部もまた、自分の中にダウンロードされている。

このソフトの延長線上には、 「公理」とか「人格」みたいな間接的なものを一切使わないで、 人間の意識を直接的に書き換える手段があったり、誰かの考えかたを公理化しないで、 定量可能な「重み付けられた辞書」としてデータ化する手段があったり。

人間は平等とか、絆は大切とか、水は心を知っているとか。

自分達の商売の邪魔をする、様々な公理を信じる人達は、 ぜひとも「辞書データ」を公開してほしいなと思う。

教祖が重み付けを行った辞書データというのは、その人の意識をコピーした ミームとなって、きっとネット空間に伝播する。

1 年ぐらい経って、世間で使われている辞書データすべてを加算平均して、 「標準辞書」を作る。それはきっと、辞書としては役に立たない、 無意味なデータの集積にしか過ぎないけれど、世界意思を反映した何か。

演算量が多すぎて、無意味なデータから意志を再構築することなんて無理だけれど、 幸い世界中には、様々な「意思」が流通していて、それぞれの公理に基づいた データ列を公開している。

公開されているすべての「公理=意志」と、「標準辞書」との隔たり次数を数値化すれば、 公理の序列をつけることが可能になる。

その順位は「美しさ」とか、「正しさ」とか、そんな分かりやすい何かを反映するものには ならないけれど、「世界を最も上手に説明する公理」が何なのか、それをきっと、 力技で見つけ出すことができる。

あとは遺伝子アルゴリズム。世代を重ねていけばきっと、神様の言葉、 「オリジナル・ランゲージ」に近づいていけるはず。

科学は案外、「絆」に大敗したりして…。

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2005年2月22日

Clie滅亡…

Slashdotより。

SonyがClieの新機種投入を断念したとの発表がpc watchに掲載された。現行機の生産も今年 7月で終了となる予定。 既存ユーザのサポートについては「保証書記載のとおり、出荷終了後6年間行なわれる。
、、、 _| ̄|○... 。

もう下級生にはPalmデバイスをすすめられなくなってしまった。

Tungsten|cを購入してから本当に便利に使ってはいるものの、さすがに電子手帳初心者に使ってもらうのはかなり厳しい。

せめて、TJ25かTH55だけでも継続販売してくれないだろうか。

Palmはこのまま滅ぶんだろうか。初心者の参入を許さない道具は、そのうち誰も使わなくなってしまう。PalmJapanが復活してくれるか、CJKOSを同梱した中国版のPalmを安く輸入してくれる業者があれば、あるいは予後は違ってくるかもしれない。

個人的には洋物Palmしか使っていないので、そう不自由はしないのだが。もはや日常業務に欠かせないものになっているだけに、今後仲間が増えないと非常に困る。

どんな形であれ日本に残って欲しいものだ。

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2005年2月 3日

戦場で使えないPDA

Palmを弄くりまわすのは面白い。こんな小さな道具がなぜこんなに楽しいのか、いまだによくわからないまま遊んでいるが、やはり面白い。別にゲームをするわけでもネットにつなぐわけでもなく、単に手帳の代わりに使っているだけなのだが、何年経っても飽きない。

一方でPalmを含めたPDAは、本当に忙しい職場では使い物にならない。外来患者が毎日50人近く、入院患者がやはり同じぐらい、救急車が1日数台来るのも全部自分の責任…といった環境では、もうスタイラスを出しているひますらない。

病院が忙しくなってくると、「先生あれやって」「何時にムンテラ」「この人の次の外来いつだっけ?」といったタスクは山のように出来るが、その予定を個人で管理するのは不可能になる。

こういった戦場のような職場で役に立っていたのは、単なる紙1枚。その日のうちにやらなくてはいけないことを片っ端から書いていき、終わったらボールペンでグシャグシャと消す。これだけ。

スケジュールについてはもう病棟任せ。ムンテラのセッティングなどは婦長さん任せにして、家族には医者のいるところに来てもらう。とてもじゃないが「何時にどこで待ち合わせ」など、覚えていられなかった。

Palmにはもちろん、スケジュール管理やToDoなどが準備されている。しかしその日のうちにやらなくてはいけない仕事が一定の量をを超えてしまうと、もう何をやっても効率を上げることなど不可能になる。Palmに仕事の予定を記載しても、それを参照する前から次の仕事が押し寄せる。結果、入力時間だけ無駄になってしまう。

PDAをいくら用いても、仕事を片付けないと家には帰れない。予定がある程度決まっていて、仕事の計画をある程度だてることが出来るプロジェクトであれば、PDAを用いて仕事の効率を上げることは可能かもしれない。

ただ間違ってはいけないのは、PDAは効率を上げることは出来ても仕事の絶対量を減らすことは出来ないという点で、どうしようもなく忙しい病院ではスタイラスを持つひまがあったらさっさと外来を回したほうが早く帰れる。

ここにきてTungsten Cを購入してから、あるいは状況が変わるかもしれないと感じている。

今やっていることも、結局はToDoにその日にやらないといけない仕事片端から殴り書いていく、というだけなのだが、キーボードを使った入力はとにかく速い。まだまだタッチタイプもままならない状況ではあるが、それでも今まで使っていたペン入力とは比べ物にならない速さで入力できる。ボールペンをいちいち出さなくてもいいぶんだけ、下手をすると手書きよりも速いぐらいだ。

TungstenCについては興味を引かれたのは速さとキーボードだけ。メモリについてはTungstenEの時にすでに十分すぎるほどであったし、無線LANはそもそも地方都市にそんなものはない。

ただ、そのキーボードの快適さとCPUの速さは自分の予想のはるかに上を行っていた。今までPDAを仕事で使う際にボトルネックになっていた検索の遅さと入力の遅さはかなり解消されており、これならば忙しい病院でも実用になるかもしれない。

今は新しいアプリを試すわけでもなく、黙々とキーボードのタッチタイプを練習しているだけなのだが、内心はこのデバイスにはかなり期待を抱いている。

ようやくPDAが実用になるときがきたと思ったら、Sonyはすでに撤退をはじめているわけだが。散々市場を食い荒らしておいてここに来て撤退では、あまりにも無責任なのではないのだろうか。

2005年2月 1日

Tungsten C 購入

遅ればせながらTungsten Cを購入してみた。

現在使っているTungstenEで何も困っていないのだが、キーボートつきのPalmを前から触ってみたかったのと、海外通販会社のExpansysが日本語サイトをオープンしたことから。

TungstenCはもう値崩れしており、以前は日本で買うと7万円近くしていたものが、ここで購入すると\41,740まで下がっている。Sparcoはもっと安いようだが、Expansysはロンドンの本社に日本人スタッフがいるようで、万が一クレームのメールを出すようなことになっても日本語が通じるので安心。

WEBからカードで注文をいれて、確認のメール返信があったのが翌日。現物が到着するまで大体4日間程度。送料を含めて\45,000程度で購入できた。

購入したものはすでにUpdateパッチが当たっており、そのままで最新の仕様になっていた。

とりあえず手持ちのCJKOSを導入、従来から使っていたアプリを適当に入れて使っているが、とにかく早い。今まで使ってきたTungstenEの3倍以上、ClieのTJ25の2倍のスピードのはずだが、キーボード入力をしていることも手伝ってか体感的にはそれ以上に早く感じる。

画面の明るさも十分。TungstenCは画面が暗いという話があったが、少なくとも病院内で使っている分には全く暗さを感じない。実際問題、明るさ調整を最小限にしても画面が明るすぎ、AutoDimmerを使ってさらに画面を暗く調節しているぐらいでちょうどよい。

病院というところは基本的に薄暗い建物で、内科はその中でも日陰を好んで歩くために画面が見づらいという状況は全くといっていいほど感じていない。

とりあえずしばらくはTungstenEから乗り換えてみる。

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2005年1月 2日

TungstenE 故障

正月早々、昨年から使ってきたPalmがクラッシュした。大晦日からの当直明け、充電しないで何日間か使っていたためらしい。いきなり固まり、以後は何度ソフトリセットをかけてもOSの起動途中でエラーメッセージが出て動かなくなる。データの読み出しももちろん不可。そのうち立ち上がらなくなった。


自宅に持ち帰った後でPalmを充電。上ボタンリセットをかけると何とか起動したが、メモ帳データは全て文字化け。日本語化に使っていたCJK-OSがおかしくなっているらしい。

生き残っているデータを吸い出すため、母艦のデータを他の場所へ退避させたあとで同期。メモ帳データは何故かここ1週間分の物は無事で、古いものは全て読み出せなくなっていた。古いメモは母艦にバックアップがとってあったので、メモ帳データをエディターで開き、救済できる物をテキストデータに保存してデータの問題は何とか解決。その後ハードリセットをかけ、無事に起動した。

以下のアプリを入れなおし。

CJK-OS
日本語化アプリ。入力デバイスは必要ないのと、フォントの選択の幅が大きいということでJ-OSではなくこちらを利用している。他との比較はしていないが、普通に使う分には十分きれいな日本語を表示してくれる。

PalmWiki
これを含めた増井氏作のアプリが使いたくてPalmを使っているようなものなので、まず真っ先に導入した。今は改良版(PsLink)が出ている。こちらも非常に便利で、他のアプリへのジャンプもサポートしている。
追記:アプリを入れなおしたら、なぜかPalmWikiの作動が従来どおり行かなくなってしまった。代わりにPsLinkを用いたところ従来どおりの動作をしてくれた。原因は全く不明。クラッシュ前後で、使っているアプリは(バージョンアップしたものがあるにせよ)全く共通のはずなのだが…。

PoBox
日本語入力デバイス。過去に入力した単語を大体覚えていてくれるので、患者さんの名前など、自分のうろ覚えを補完してくれる。PalmWikiとの併用でメモ帳を簡単なデータベースとして使うことが出来る。患者数が数百人にもなったなら問題なのかもしれないが、ここ数年間に見た人のメモを簡単に記録しておく程度ならこれで十分。

QPocket
全文検索。どうしても動作が遅いので、普段の検索用にはあまり使わない。「超整理術」風に最近見た順にメモデータを配列しなおしてくれるため、メモボタンに割り当てて使っている。

AutoDimmer
画面の減光アプリ。これを入れると電池のもちがかなり違う。

LinkPak
PalmOS5への移行に伴い、しばらくの間PalmWikiがOS5に対応しない時期があった。このときに代替品としてLinkPakを使用していた。

これはこれでアプリ間でのリンクを自由に張ることができ、また動作上もPalmWikiとぶつかることもないので引き続いて使用。ひとつの項目に対して複数のリンクをはることができたり、バックリンクを自動的に作ってくれたりと結構使えると思うのだが日本のユーザーが少ない。

以前はリンクデータがいきなり飛んだりしたが、バージョンが上がってからはここ1年はトラブル無く使用できている。

使用法についてはこちらが非常に詳しい。

ButtonLaunch
ハードボタンに複数のアプリを割り当てられるもの。日本語アプリで同様の動作をするものがいくつもあるが、これはフリーウェアで動作も軽い。DAの割り当ては不可能。

McFile
ファイラ。昔に比べて使用頻度は減ったが、Graffiti1への入れ替え等でなくてはならないアプリ。

Pook
DOCリーダー。一番高機能で、しかもフリーウェア。

KDIC
Pdrugを入れて使っている。辞書ソフトも何本か入れているのだが、病院ではあまり使わない。

PowerRun
レジストしているので前から入れているが、Tungstenにしてからまったく起動していない。もともと文字情報しか使わないためか、内蔵メモリで十分用が足りてしまっているのだろう。

Kalk
逆ポーランド記法で動作する電卓アプリ。「1-1=?」を計算するのに「11-」と入力すると答えが出る。慣れると非常に便利で、時々出てくる複雑な計算でもメモリー機能を使う必要が無い。例えば「(1+2)*3」という式は「12+3*」と表現でき、実際に計算する時は、まず最初の12+を計算して次にその結果3を当てはめ33*とすれば計算できる。これは「1と2を足してそれに3をかける」と言っている事と同じで、慣れてしまうと頭で考えたとおりにキーボードを押せる。循環器屋をやっていると結構使う。

MedCalc
有名な医療用計算機。最近は日本語化が面倒なので英語のまま使っている。

T-Suite
OSを日本語化した際に出てくる様々な細かい問題をFIXしてくれるアプリ。舶来品のPalmを日本語化して使っていく上ではこれがないとどうしようもない。

ChangeJE
日本語入力デバイスPoBoxを起動するのに時計ボタンを割り当てるアプリ。いろいろ試した中で、一番動作が簡単だった。

DA Launcher
DAアプリの使用に必須。昔はいろいろ入れていたが、結局PasteDateとPsLinkDAのみ使用している。


Graffiti の入れ替え

TungstenはGraffiti2のデバイスなので、入力がやりにくくてしょうがない。このためどこからかGraffiti1を拾ってこないといけないが、日本にはクリエしかないため周りの人から貰う訳には行かない。探すためには、GoogleでGraffiti Library.prc とか Graffiti.prc などと入力してみると、運がよければまだ公開している人がいる。公開自体が違法なので、たいていはすぐに消されてしまう。特許の問題は解決したはずなので、PalmOne自身がGraffitiを元に戻すためのサービスを行ってくれるとありがたいのだが。

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2004年12月 9日

テキストデータについて

ファイルメーカーモバイルやDOCアプリを使う人たちへの反論。

自分の技術は進歩する。この数年で、テキストを打つ道具は単なるメモ帳からテキストエディタへと進歩し、印刷原稿にはLaTexを使うようになった。さらに、印刷のためにPDFデータをtexから生成できるようになり、現在ではtexから直接HTMLを作り、ネットで公開できるようになった。

テキストデータは、無限に応用が効く。世界のどこかには、必ず自分より上手な人が自分のノウハウを公開している。自分の文章をテキストファイルで保存していると、何かやりたいことができたときにもすぐにその方法を検索することができる。

DOCやファイルメーカーのデータのような、特定のソフトに依存したデータは、その応用例を公開している人が少なく、自分のやりたいことを実現するために自分の頭で考えなくてはならない。


機械は進歩する。Palmのような貧弱なハードウェアの上では、テキストファイルの全文検索は時間がかかり、実用的ではなかった。ファイルメーカーやKDICのようなデータベースソフトは、こうしたハードウェア上でも軽快に動作したが、tungstenをはじめとする最近のハードウェアの場合は、こうした速度面での優位性は失われつつある。

一方、Palm上で作った文章をPC上で加工する場合には、テキストファイルの移植性が生きてくる。テキストエディタ上でPalmのデータファイルを開くだけで、その文章の加工は何でもできる。これがDOCデータのようなバイナリデータであると、Palm上のデータをPC上でそのまま開くことが難しくなる。


本当は、Palm上で動く文章量制限のないテキストエディタが出てくれれば一番うれしいのだが…。すべての情報を1つのテキストファイルで管理して、そのつどGrepして過去のデータを参照できたり、簡単なTagでハイパーリンクを張れたりできればもうそれで十分。

Palmのメモ帳にPalmWikiを組み合わせるとかなりそれに近いものになるが、Palm上でのテキストの一覧表示ができないのが難。howmのようなPalmアプリは無いものだろうか。

2004年12月 6日

普段のPDAの使いかた

梅棹 忠夫 知的生産の技術から。


ひらめきの定着にメモがやくにたつ。

全ての情報は分類してはいけない。配列する。一番いいのはアルファベット順に配列して情報の所在地を決めることである。

一度配列のシステムを確立すれば、検索はいくらでもできる。

全ての情報はテキストデータで記録し、可能なら一つのファイルにまとめる。一つのテキストデータであれば、後々自分の技術の向上に伴い、いくらでもデータを検索、加工が可能になる。

これが複数のファイルにまたがるバイナリデータであった場合、後でデータを別の目的で利用しようとしても困難である。

Palmは、だいたいこの方針でいろいろな情報を管理できる。

患者の電話番号や病名、日常のメモやアイデア、臨床に必要な知識のメモなどは、全て単一のメモデータとしてテキストエディタでPC上で閲覧することが可能。Palm上でも全文検索が一応可能。


普段のPDAの使いかた

アドレス帳、予定表、ToDo?といった電子手帳の普通の使い方と合わせ、自分は以下のものをPalmにいれて持ち歩いている。

薬のデータベース(Pdrug)

抗生物質のガイドライン(Johns Hopkins 病院のもの)

POOK(docリーダーとして)

Progect(学会準備などの進捗状況表がわり)

英和辞書(Kdicに英辞朗を入れて)

これ以外のデータ、例えば患者さんの簡単なまとめ、日常で見聞きした医療情報、何か思いついたときのメモなどは全てメモ帳に放り込んでいる。メモに書き込む患者さんの情報などは特にフォーマット等は作らず、その日の気分で適当に打ち込んでいる。

このままではメモが雑然と積み重なっているだけであるが、例えば予定表に患者さんとの面談予定が入っている場合、この予定に件の患者さんのデータ、病気に関する覚え書きなどのメモデータにハイパーリンク(PalmWikiLinkPakを併用)を張っておくとメモが有効に生かせる。

また、日時、病名、キーワード等で特定のメモを探したいときは全文検索ソフトの Q-pocketを利用することで間に合わせている。

情報整理といえばデータベースソフト、患者情報も全てデータベース化し、几帳面に管理している人もいるが、これを長く続けるのは大変で、また将来的な応用も利きにくいと思う。データベースってはその設計が意外に難しい。どのようなデータを含む、どのような構造のデータベースにするのかを最初に設計しなければいけない。後になってこうしておけばよかった、といったことが出てきても、全てのデータを訂正しなくては使い物にならない。

データを単なるテキストファイルで管理した場合、データベースソフトに比べると検索速度は遅く、また適当に情報を記入しているといくつかのキーワードを試さないと情報が出てこないかもしれない。

しかし、テキストデータはさまざまな応用が効く。使う人のスキルが上がれば、テキストデータを効率よく加工するすべはいくらでも見つかる。検索スピードが遅いことについても、1年も我慢すれば同じ値段でもっと早い PDAをどこかが発売してくれる。ファイルメーカーのようなデータベースソフトを用いた場合、機械を乗り換えたときのデータの移行が難しいことがあるが、テキストデータならそういった心配は皆無となる。

2004年12月 5日

Palmについて

ここ2年ほど使っているPalmについての覚え書き。

研修医の頃は、当時のチーフレジデントの先生方が出たばかりだったザウルスを使い出していた。当時のザウルスの性能で本当に便利だったのかは疑問だが、ある日「みんなにも普及させるため、これからは申し送りはザウルスでやります」との宣言が出されたことを覚えている。

申し送りが始まると、上級生の何人かは黙ってザウルスを近づけあい、赤外線通信で情報交換。ザウルスを持っていない下級生は黙ってみている。あまりにも評判が悪かったのでこの申し送りは数回で終了、元のメモを回す形に戻った。

以降、何年経っても電子手帳を使う機会もなく、またこうしたデジタルガシェットを愛用していた先生方もそのうち使わなくなってしまい、自分の周囲からは電子手帳ユーザーは消えた。一時シグマリオンを全員で買った学年がいたが、それも1年で終了。当時の病院が忙しすぎて、メモ代わりに使うには入力スピードが追いつかず、辞書代わりに使うにはソフトがあまり多くなかったのが原因だったのだろうか。

この間、自分はといえば1週間ごとに何でも書き込める紙を1枚持ち歩くのみ。用件を片端から記入していって、終わったらボールペンで横線を引いて消すだけ。長期間のスケジュールを立てる必要はほとんど無かったし、医事科がしっかりしていたので24時間患者さんのことならどんな情報でもすぐに出てきた。

病院が大きなところに代わって、状況は一変した。仕事に余裕ができた代わりに、学会だ原稿だと締め切りが決まる予定が入ってくる。患者のカルテはなくなるし、外からの問い合わせ電話は何も言わずに主治医に直接回してくる。自分で患者さんの病名と住所、ID番号、次の外来日ぐらい把握していないと何もできなくなり困惑した。

この病院の上司がザウルスを使って患者さんの情報管理をされており、非常に便利そうに見えたこと、この頃たまたま、Palmのm500が値崩れして2万円を切っていたので、いい機会なので購入してみた。最初はとにかくスケジュール管理ができて、数十人分程度の患者さんの簡単な情報を整理できれば十分と思っていたが、少ないメモリー、遅いCPUにもかかわらずさまざまなアプリが発表されており実に面白い。

最初にPOBoxというアプリの発想のすばらしさに驚いてから以後、当初の目的はどうでもよくなり、2ヶ月ぐらい色々なアプリをいれて遊びたおした。結局はKDICとpdrug、英辞朗の英和辞典、MedCalc、PalmWikiとQpocketの組み合わせに落ち着いた。

m500を購入してすぐにPalmは日本を撤退、クリエはメモリースティックを強制している時点で絶対に使いたくなかったこともあり、辞書が大きくなるほどPoBoxの動作が鈍くなるm500に限界を感じた頃にTungstenEの購入を決めた。

Tungstenを購入してから1年、画像をまったく使わないので内臓メモリーだけで特に困ることもなく、スピードが遅いと感じることもほとんどなく現在まで使っているが、慣れると手放せなくなる。画面照度をAutoDimmerなどで暗くすれば1週間ぐらい充電しなくても平気で動作するし、当初は違和感のあったGraffiti も、慣れると手書きとほとんど代わらないスピードが出る(Graffiti 1に換装しているが)。

ほとんど気にならない程度の大きさで、薬の本と辞書、ほとんど無限に近い大きさのメモ書きスペース、アドレス帳が常に手元にある便利さは、今の病院で生活していくためには欠かせない。

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