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2007.06.30

問題の外に出ること

New England Journal of Medicine という医学雑誌に 「A Medical Mystery」という クイズコーナーがあって、患者さんの簡単な病歴と、たいていは1から2枚の画像所見から 病名を当てさせる。

今週のお題は高血圧の患者さん。

無症状の28歳、1回目の妊娠の時に高血圧を指摘されて、以後内服加療中。息切れや動悸、頭痛といった症状は無し。胸部単純写真を示す。「病名を述べよ」という問題。

答えは7月にならないと発表にならないけれど、たぶん「大動脈縮窄症」。

医局の隣に、自分の4倍ぐらい勉強している内科の医師がいる。この人は、問題文を聞いただけで、 画像を見ないで答えを出した。やりかたは、以下のとおり。

  1. NEJM は全科が読むあまりにもメジャーな雑誌だから、あんまりマイナーな病名は載せられない
  2. 印刷媒体だから、直径1mmもない転移性肺癌とか、 そういった視力の限界に挑むような所見もないはず
  3. ありきたりな病気であったり、診断が分かれるような病気を載せれば、 今度は編集者の裁量が疑われてしまうから、確定診断がつく病気のはず

こんなことから、クイズに乗せられる病名は、教科書には必ず書いてあって、なおかつ 日常臨床ではあまり目にしないような、そんな病名。高血圧を生じて、 それを単純写真で診断させるような病気といったら、おそらくは大動脈縮窄症しか 考えられないだろうと。

写真を見直すと、出題先の写真には「“figure 3 ”サイン」が あったり、あるいは肋骨下端が肋間動脈に喰われている所見があったりで、 たぶん大動脈縮窄症で間違いなさそう。

出題者の意図は、「有名だけれどめったに見ない疾患を、 胸部単純写真での特徴的な所見から当ててもらおう」なんていうところ。

ところが、「出題されたのが有名雑誌である」こと、「高血圧なのに 心電図や他の検査所見が一切提出されていない」ことといった、 問題文の外側にだってヒントはあって、それを読める人というのは、 出題者の意図とは全く無関係に、同じ結論にたどりついてしまう。

問題の中で一生懸命考える人と、問題の外側に出て、さっさと抜け道通って、 解答にいきついてしまう人と。

自分も後者を目指したいなと思った。

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Comment & Trackback

情報はいくらでもあるのに、見えない方へ誘導されてしまうのは怖いですよね。悪意のあるなしにかかわらず…

>4倍 なんだか生々しい数字…私はさらに1/4くらいか。。。

ここは3倍勉強しているから早く解けた、と隠し設定をすべきだったのでは

>>4倍師 ハリソンのどこに何が書いてあるか、イメージ出来る人でしょうね…

4倍 昔の少年ジャンプなんかだと、強さ比べは10倍からでしたね

3倍 その人は赤くもないし角も生えていません…

4倍師 本当にそんな感じの人です。

ちょっと、受験テクニックっぽい感じもしますね(笑。>「問題の外側に出て、さっさと抜け道通って、解答にいきついてしまう」

より臨床に近く問題文作り替えれば、「・・以上は、大動脈縮窄症をうたがうべき所見であるが、地雷を踏まないために、済ませておくべき検査をすべてあげよ」って感じじゃないでしょうか?

もっとも、私自身も、抜け道見つけたがるほうではあるんですが(笑。

このあたり、きっとルール内で気合入れるやりかたと、問いを見直して、答えを含んだ 問いに帰着させる方法と、もう一つ、答えは分からないけれど、解決することができる やりかたを探す道があるんじゃないかと。

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