2006年11月 7日

鎮火のための爆破メソッド

原油火災を消火するには

イラクがクウェートに侵攻したあと、撤退したイラク軍は、油田に火をつけた。

燃料の上におきた火事。こうなると、水を撒いたって消えない。

こうした火災を消すのには、爆薬を使う。

炎上している原油井戸の周囲に爆薬を置いて、炎ごと爆破する。

爆発の瞬間、燃料と酸素と、両方の供給が一瞬途絶えるから火は消える。 そのタイミングを見計らって、井戸のバルブを閉鎖すると、消火できるのだという。

炎を維持するのは、意外に難しい。

  • 燃料や酸素の供給が少なすぎれば、火は消える
  • 燃焼速度が上がりすぎたり、酸素の供給が過剰になったりすれば、炎は「爆発」して、燃焼を維持できない

炎を維持するには、燃料の供給や燃焼速度を、一定の範囲内に保ちつづけないといけない。

「爆発」鎮火する掲示板

ずいぶん前、2ちゃんねるにペット大嫌い板、通称「動物虐待板」という掲示板があって、 動物虐待を肯定する「黒ムツ(黒いムツゴロウさん)」さんたちが、「愛誤(動物愛護)」の人達と、 24時間ぶっ通しで罵倒合戦を続けていた。

「臨界」の範囲なら、燃焼温度は高ければ高いほど面白い。

動物虐待板は、人間の悪意だけでディベート合戦を楽しむ場所で、 「ネタをネタとして」楽しむ空気。

状況が変わってしまったのは、本当に「猫殺し」をする人が出てくるようになってから。

逮捕者が出る前からいくつか出回っていたけれど、あれで一気に熱が冷めた。

「黒ムツ」だって、みんな「黒じゃない」と分かっていたからこそめちゃくちゃなことが言えたし、 掲示板もいい感じに炎上を続けた。

ところが、「黒ムツ」の中に「本物の黒」が一人でも入ってしまうと、 あとはみんな同類扱い。

本当の「黒」になんか誰もなりたくなかったから、あの掲示板からは一気に人が減ってしまって、 当時の雰囲気なんてほとんど残っていない。

グロ画像掲示板。あれも「世の中には殺人現場をおさめた動画があるらしい」という都市伝説があって、 あたかも「ツチノコ探し」みたいなノリで、「俺見たことある」とか、 「ロシアのサイトに公開されたらしい」とか、そんな楽しみかたをするところだった。

戦争が起きて、生きてる人の首を切られる動画が当たり前のように全世界に発信されて、 もうグロ画像なんて珍しくも何ともなくなってしまって、みんなの熱は冷めた。

Dan's Gallery of Grotesque やFreak Show Case、Ogrish やGoregasm 。 海外のグロ画像サイトのフォーラムで、 海を越えた同業者同士の活発な討論会が行われたりしたのも、今は昔の話。

掲示板鎮火のための爆破メソッド

炎上したblog や掲示板の鎮火は難しい。

「無視する」のは最上の方法の一つだけれど、後に残るのは焼け野原。 どうしたってダメージは残るし、そこから何事もなかったように再生できる人は限られる。

水をかけるのは最悪。炎上の勢いが強くなると、筆者側がかける「水」すらも燃料になってしまう。

「炎上」を維持するためには、炎上に参加するみんなの罪の意識が、 ある一定の「グレーゾーン」に保たれていることが必要。

本物の炎と、原理は一緒。炎を消すには、燃焼温度を炎が維持できないぐらいに下げてしまうか、 燃焼速度を上げて、「爆発」にもっていってしまうか、どちらか。

炎上に参加する「みんな」は、グレーの範囲で限りなく「黒」に近い発言をしようとして競い合う。 鎮火をしようと思ったら、この温度を一気に上げて、 みんなを「黒認定」してしまうのがひとつの方法になる。

  • 掲示板が誰かの中傷などで盛り上がったら、筆者自らが自分を罵倒する競争に参加して、 「みんな」が引いてしまうようなひどいことを積極的に書き込む。 祭の場に「こいつと同類扱いされたくない」という空気が流れたら、自然に鎮火していく
  • 医師のWeblog での主張に反対意見が殺到したときなどは、相手を論破しようとする代わりに、 話題を筆者の人格否定とか、下衆な中傷発言などに持っていく。医師なんてみんなお上品だから、 流れが下品になれば、みんな去っていく
  • 集団の中で誰かを保護しようと思ったら、その場の制空権(空気の流れを作る権利)を持っている人が、保護したい誰かに関するひどい陰口の口火を切る。それが十分に「ひどい」話なら、 誰もそれ以下にはなりたくないから、自然にみんな口を閉じる

実績はある。「上手くいった」という伝聞いくつか。自分でやったこと、何回か。

誰かの悪口とか、「炎上」というのは一種のチキンレースで、 「グレー」が「黒」に変わる境界、その境界にもっとも近づいた者が、 その場の空気を決める。

残念ながら、罵倒される側が「白」の立場に固執していては、 いつまでたっても制空権が取れないから、 炎上はいつまでたっても止まらない。

制空権を取るというのは、その場の「悪意の引き受け手」になること。

匿名世界でそれをやるのは簡単だけれど、実世界では相当に難しい。 「公平」ルールが蔓延して、弱者の権利なんていうものが強い昨今、 それはますます困難になっている。

絶対的な悪人、あるいは権力者がいて、それに対する反発でみんなまとまって、 その「悪」を何とかするというのが昔の学園ドラマの基本だったけれど、 今の公立学校にそんな「悪」が君臨したところで、朝日新聞への投書一発で即死。

みんなそれが怖いから、「悪意の引き受け手」なんかになれず、燃焼速度がいつまでも 臨界以下にしかならないから、一度火のついた「いじめの炎」を止める術がない。

やっぱり「みんな公平」という概念は、発明としては今一つないんじゃないかと思う昨今。

コメント

はおはお様
>不用心に身辺を書く怖さ
これはそのとおりで、本当に匿名を維持しようと思ったら、外せませんよね。
うちはそういう意味では、ほぼノーガード。

遊鬱様
>信頼が灰燼に帰する
そうかもしれません。。特にお互い顔見知りの、実世界では。
学校なんかで、教師の人がそれをやると、まさに「フルメタルジャケット」の世界。

お邪魔させていただきます。

制空権をとらんがための自作自演が横行することがままあるのはそういうことなんでしょうね。爆破メソッドというか消化のためのフェイルセーフみたいなものは炎上する前までにいかに管理人が準備できているかということに尽きるかと思います。medtoolzさんの提示だと下手をすると消化には成功しても、それまで当該ページで積み上げてきた信頼が灰燼に帰する恐れがありそう。

炎上は炎上でももともとの閲覧者数が少なければ、管理人のコメント捌き能力で時間を稼いでいれば十分に対応可能でしょうが、そうでないと炎上する前に対応策が必要かも。

例えば
・あらかじめ、管理人が別コテハンをもって常駐しておく(別ブログをもっておくというのも有効かも)。
・コメントを熱心に寄せてくれるような人と、コメント上のやりとりだけでなく、クローズドな(メール)やりとりが出来る

といったものを用意できていれば、芋をひく(ひいてもらう)ことが可能かなとか思いました。

件の先生のページ、最近眼科を回っているとか、倒像鏡を習っているとか、そんな記載でした。不用心に身辺を書く怖さですね。
集まっている人たちもホントにdrop outなのか、脳内drop outなのか?判然としがたい所もありました。
基本的に考えの違う人たちでしたから、読むとモチベーション下がりましたが、最近の若手医師の悪意を垣間見る機会を無くして、一般の人にとっては損失かもしれません。
悪意は深く時間をかけて潜行させねば、と感じます。

追々々記:
ああそうでしたか。
てっきり、どこかのお祭りの余波を受けた内容で、何も知らぬ私がトンチンカンなコメント寄せているのかと思いました。
5年も密かに続いているのですか。子供の頃の基地ごっこ思い出しますね。良いですね。
私は昔から(2chが出来る前、掲示板のはしりの頃から)人様の掲示板やらブログやらに、気の向くままに一定期間腰を落ち着けては、ある日ふらっといなくなるというネット生活繰り返してきています。
自分のブログ持ってみたこともありましたが、一ヶ月くらいで閉めました。書かねばならぬみたいなプレッシャーがかかるもので。
ここに来る少し前は、ホームレスさんのブログに居ました。私にはなかなか面白かったです。お暇なときありましたら覗いてみてください。
ttp://blog.livedoor.jp/kenjiro45/

コメントありがとうございます

>トラックバックにあるQOML派先生
私、この先生のページよく知らないんです…。
若手の医師で、医師による株式投資関係の文章を書いている人だと
思うんですが、自分の興味とはちょっと違うので。
ここにしても、実世界での知人はみんな知っている場所なので、
誰かが正体ばらしをした時点で終わりです。
なんだかんだいって、もう5年以上続いているんだから、みんな
口が堅いというか…。

追々記:
またまたお邪魔します。
今日のブログ記事は、ひょっとして、トラックバックにあるQOML派先生のブログ炎上への追悼なんでしょうか?
社会なり、ある集団に対して問題提起をしようとしたとき、相手を説得できれば最善ですが、それが叶わないとき「上手に被害者になってしまう」のは次善の手です。
それまでに十分戦ったという実績が無ければ茶番にしかなりませんが。
これはネット上でも現実世界でも、それなりに効果あります。
この場合の協力方法は、炎上したあと、記念碑を建て、伝説として語り継ぐことですね。

追記:
現実世界でのいじめを止めるために「悪意の引き受け手」を志願するのはどうかなあ・・仮想世界だから有効な技なんですかね。
むしろ「彼をそんなにいじめたら可哀そうじゃないか!」と声に出して、正攻法で救出したほうが現実社会では有効そうだなあ。まあ、助けたければですが・・
現実社会とネット空間での、技の有効性の違いってのも面白そうですね。

だれかが「悪」に成り済まして「スマンカッタ。」って詫びを入れる、ってのもありますね。そうすると「悪」は「今、謝ったのはオレじゃねーよ!」ってことを主張し始めて、新たな燃料投下エネルギー・ポテンツが低下します。

ネットの掲示板での「いじめ」なんかは、ストレス解消にいいんじゃないかなあ。現実世界でいじめられてる人にとっては、唯一のはけ口だったりするかもしれない。一方で「いじめ救済」もいい。正義の味方になったような気がしますからね。
ブログが炎上して、皆がそれを見てスッキリして現実社会での犯罪が一つでも減れば、そのブログはちょっとした社会的意味があったことになるのじゃないでしょうか(笑)。

所詮ネットされどネット。現実世界で、学生時代の文化祭のようなお祭りが少なくなった現代、ネット上でお祭り気分味わうのもいいんじゃないですかね。

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