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2005.03.31

大学病院を出る人たちへ

最後はやはりこれで。

おはよう、諸君。 ……あと一時間たらずで、君たち研修医諸君は市中病院へ向かって飛びたち、 史上空前の強敵と交戦する。時を同じくして、各地の大学病院も、日本中の 市中病院に対し同様の攻撃を行う手はずだ。

諸君がまもなく赴く戦いは、本学史上最大の戦いとなるだろう…… そう、開学以来最大の……。 大学……この言葉は、今日、我々全員にとって、新たな意味を持つ。 大学病院に対する今回の暴虐行為に少しでも意味があるのなら、 それは我々職員が共有するものの大きさに気づかせてくれた、 という点につきるだろう。

医局間の無数の差異など瑣末事でしかないことを痛感させ、 共通の利益というものの意味を実感させてくれた。

そしてさらに、歴史の方向を変え、大学病院スタッフであることが どういうことであるかをも定義しなおしてくれた。

今日この時より、院内の各医局がいかに深く研修医に依存していたかを、 我々は決して忘れることがないだろう。

今日が4月1日、本学が独立行政法人化した日であることに、 私は皮肉を感じずにいられない。

運命のいたずらというべきか、この日は再び、自由への大いなる戦いの 始まりを記念する日になろうとしている。

しかし、今回我々が勝ち取ろうとしているものは、圧制、迫害、弾圧からの自由などよりも、 ずっと基本的なものだ。

奴らは、我々を殲滅しない限り、決して満足しない。 我々は自らの生きる権利、自らの存続を懸けて戦うのだ。 一時間足らずのうちに、諸君らは恐るべき敵に……市中病院に戦いを挑む。

口先だけの約束をするつもりはない。 勝てる見込みがあるという保証は一切できない。 しかし、意義のある戦いがあるとしたら、これこそはその戦いだ。

今、この大学存亡の時にあって、こうして周りを見回してみると…… 諸君のような勇者たちに恵まれて、自分はつくづく幸せ者だと思う。 言葉本来の意味で、諸君は真の研修医と呼ばれるにふさわしい。 諸君は出身大学を愛し、医局を守りぬくために自らの才能と技術を差し出し、 命を投げ出す覚悟を固めている。 諸君と共に戦列に立てることを、私は心から誇りに思う。

さあ、諸君、勝とうが負けようが、共に叫ぼうではないか。

我々は決して粛然と闇に消えたりはしない! 抵抗もせずに滅びてたまるものか! 当然の権利を護り抜くため、勇猛果敢に戦い、 最期の時であっても、昂然とこうべを揚げていよう!

そして、もし戦いに勝利したなら……何らかの奇跡により、 一見不可能事に見えるこの戦いに勝ち抜けたなら…… それは想像できる限り最も輝かしい勝利となる。

4月1日は当院だけでなく、地球上のあらゆる大学病院が肩を組み、 こう叫ぶ日となるだろう。

“我々は決して従容と死を受け入れたりはしない! 我々は生き続ける!生き続けてみせる!”と。 その日こそ、我々は……真の大学病院の勝利を祝うのだ!

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