2004.12.22
警察からの紹介患者
民間の病院に長く勤めていると、刑務所からの紹介患者を受ける機会がある。
警察組織にも医療刑務所はあるが、そこは17時以降は患者を受けない。
受刑者が医療機関の職員を傷つけてしまった場合、その病院が公立病院であれば新聞が黙っていない。一方、受刑者を民医連系の病院に紹介しようものなら、朝○新聞と○旗が黙っていないだろう。
結局こうした患者は、当院のような社会的な権力とは無縁の病院に救急搬送されることになる。
こうした病院の職員なら、万が一殺されたところで署長がティッシュボックス一箱持って詫びれば終わり。事件から2週間もすれば笑い話だ。
で、毎年2-3人はこうした患者が当院に深夜に紹介されてきた。患者さんのはずなのに不思議と重篤感はなく、視線は殺る気まんまん。腰縄に手錠。ついてくる婦警さん(なぜかいつも女性だった)のやる気の無さも全開。
「きっとこの人たちは、僕たちが殺されるまで何もしてくれないんだろうな。」というのは、診察しなくても態度で十分分かった。
自己防衛のために気をつけていたのは以下のとおり。
尖ったものはおかない。筆記具はフェルトペンを使用し、カルテも表紙をつけずに(金属がついているので)紙一枚を使用。舌圧子は木製のディスポのものを使用する。 ボールペンや鉛筆は絶対に身につけない。凶器にされる。 循環器用の重い聴診器は武器になるので、看護用の軽いものを使用する。首をしめられる可能性があるので、管の部分は傷だらけのものならなおいい。 診察中は患者さんから視線をそらしてはいけない。このためにも、長い聴診器の使用を心がける。 白衣のポケットの中は原則として空にする。ポケットに視線をそらした際、相手から何をされるか分からない。 ネクタイは外す。白衣の前ボタンもすべて開放し、相手に首をつかまれないよう注意する。 間違っても護身用の武器を持とうなどと考えてはいけない。彼らのほうがよほど強いし、事件になったらマスコミは凶器を持っている側の敵に回る。
刑務官の人たちは銃を持っているが、絶対に使われることは無い。たとえ刑務官の目の前で医者が犯罪者に絞め殺されようと、犯罪者に対して発砲して新聞ざたになるぐらいなら、医師を見殺しにするほうを選ぶ。「病院で罪も無い服役囚を刑務官が射殺」のほうが、「病院で医師が殺される」よりも○日新聞的にはよほど読者受けする記事になる。
女子医科大学や日本医科大学などでヒットマンが患者を射殺したりする事件が時々報道されるが、なぜこうした事件がいつも私立の大学なのか、公務員という人たちを理解できればすぐわかる。独自のメディアを持っていない組織など、公務員組織から見ればただのカモだ。危険なことが怒りそうな患者は、最初から「民間人」しかいない病院に送られる。
自分もようやくそうした人たちの中に割り込むことができたので、いまは安全地帯からこうしたことを書き散らせるのだけれど。
いったいどこの国の話ですか?犯罪者が夜間に救急外来に紹介されてくるなど、日本でそんなことがあるとは思えないのですが。
Posted at 2004.12.23 6:25 PM by 研修医
コメントありがとうございます。日本であっても、救急病院に警察から患者が紹介されてくることはよくあります。
大阪や福岡あたりに行くと、喧嘩で刺された、ショットガンで撃たれたといった「本当にここは日本か?」と問いたくなるような主訴で来院される方は珍しくないです。
Posted at 2004.12.24 8:56 AM by medtoolz
大変興味深い内容の記事ばかりで、また、その話題の豊富さ・多彩さに、大変驚いています。 ただ、『警察からの患者紹介』の記事に関して、民医連でも診察を受け入れているということを申し上げさせていただきます。(警察の方でも、民医連系だから紹介しないという配慮はないんじゃないでしょうか) はっきり言って、民医連の病院には、普通なら受入れを断るような患者が、真っ先に搬入されるケースが多いと思います。(ホームレス・不法滞在外国人・アルコール依存者の救急など)また、満床以外の理由で救急を断ることもしていませんし・・・(もちろん、たくさんある加盟病院の中には、ご指摘のような病院もあるかもしれませんが) 以上、ご参考まで
Posted at 2005.05.7 3:09 PM by 民医連の一職員
すいません…。 民医連は職員の結束が固そうに見えたので、先入観で適当なことを書いていました。 田舎の病院で救急などやっていると、隣の芝が青く見えたものですから。全然そんなことは無いのですね。 今後ともよろしくお願いします。
Posted at 2005.05.7 8:05 PM by medtoolz