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2004.12.07

敗血症にアルギニン

Sepsis:An arginine deficiency state?

アルギニンは、体内ではシトルリンから合成される非必須アミノ酸であるが、敗血症の予後改善に効果があるかもしれない。

アルギニンは、肝臓のなどでシトルリンから合成される経路と腸管から直接吸収される経路とで合成され、一方アンモニアの解毒のためにオルニチン回路で分解されたり、また重要な血管拡張物質であるNOを合成するために消費される。

NOは一酸化窒素合成酵素(NOS)によってL-アルギニンのグアニジノ基と、分子状酸素を基質として生成され、血管拡張作用以外にヘルパーT細胞の賦活化や、炎症性サイトカインの合成促進などの作用を介して免疫力を増加させる方向に働く。

敗血症患者血中のアルギニン濃度は低下している。敗血症に陥った患者はしばしば食事を取れなくなり、アルギニンの腸管からの供給は無くなってしまう。また、アルギニンの体内での合成も敗血症の時には低下してしまう。さらに、アルギニンは体内ではNOの生合成により消費されてしまうため、敗血症の急性期にはアルギニンの消費は亢進する。

敗血症の患者においては、NOの増加は体血管抵抗の低下を生じる原因になっているが、一方では微小循環の改善作用、スーパーオキサイド産生抑制作用といった敗血症の転帰を改善させる作用を併せ持つ。さらに、アルギニンは敗血症患者の蛋白代謝に影響し、急性期反応蛋白の産生を増加させる作用があると報告されている。

敗血症の患者においては、血液中のアルギニン濃度の低下している患者は予後が悪いという観察結果もある。

こうした観察を受け、今までに敗血症の患者に対していくつかのアルギニン濃度を上昇させる方法が試された。

もっとも簡単なのはアルギニン製剤の経口投与、アルギニン製剤の静注であるが、アルギニンの経口投与については予後が改善したという報告もあるものの、まだはっきりした結果は出ていない。静注については一過性の血圧低下が報告されているが、臓器循環の改善、心拍出量の増加といった効果が報告されている。

一方、アルギニンの分解を行うNOS(NO合成酵素)阻害薬、NOの直接供給によりアルギニンの分解を減らす方法などは一部メリットも報告されているものの、血行動態に対する悪影響が報告され、予後に対しては否定的な報告が多い。

単純にアルギニンが多い製剤としては、以前から免疫力を高めるとうたう経口栄養製剤の効果が報告され、データ上は確かにICUでの予後改善効果が報告されていた。

「あるある大辞典」でも以前話題になっていたアミノ酸だが、効くのだろうか?安い製剤ならば現状の経管栄養剤に少し混ぜてみても害にはならなそうだが。

本来敗血症の患者は腸管の動きが悪くなっているので、経管栄養剤の投与は比較的禁忌になっているが、小腸栄養チューブを挿入している施設なら大丈夫なのかもしれない。

バソプレシンの投与が敗血症性ショックの血行動態を改善しうるという話と、アルギニン投与がNO産生を増加させるという話題とは微妙に干渉しているような気もするが、適応になる病期が違う、作用する部位が異なる、NOを介した作用以外についてはお互いの作用を打ち消すようなことは無いなどからたぶん併用することには問題無いのだろう。

アルギンZってまだ売っているんだろうか。

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