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2004.11.17

ヘルメットマスクによるNIPPV

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非侵襲的陽圧換気はさまざまな呼吸器疾患、特に免疫不全状態にある患者の急性呼吸器疾患の予後の改善に役立ってきた(挿管すると合併症の頻度が上昇するからか?)

しかし、従来急性期に用いられてきたフルフェイスマスクによるNIPPVでは患者の認容性が不十分なため、今回新たにヘルメット型の非侵襲的陽圧換気デバイス(写真)が試用されている。

Noninvasive Ventilation by Helmet or Face Mask in Immunocompromised Patients

この報告では19人の免疫不全患者の急性呼吸不全に対してヘルメット型のマスクを用いて陽圧換気が行われ、その認容性と効果が過去にフルフェイスマスクを用いて治療された同様な疾患の患者と比較された。

結果、挿管回避率はヘルメットマスクで37%、フルフェイスマスクで47%と大差がなかったが、一方で酸素化の改善と開始後24時間までのNIPPVに対する認容性はヘルメットマスクのほうが優れていたという。

参考にした書籍

日本語の教科書はどれも無難にまとまっているもののあまり面白くなく、 自分が参考にしているのはほとんどが海外の教科書。編集方針が 独特なものが多く、「こんな表現手法があったのか」と関心することも しばしば。

Amazonのおかげか、今では日本語の教科書よりも圧倒的に 安価に購入できるものも多い。

**Patient Presentations in General Practice

オーストラリアの一般内科(GP)の診療マニュアル。 作者の人自身が「世の中の本でGPの診療に役に立つものがまったくなかったため この本を企画した」といったことを書いているとおり、非常に実践的な内容が 書かれている。

章立てはすべて「頭が痛い」「息が苦しい」といった主訴別になっており、 さらに「息子の成績が悪い」「勃たない」といったGPの外来にくるほとんどの 相談、主訴を網羅しており、患者の訴えから鑑別診断を想定し、問診のしかた、 必要な検査までがフローチャートでまとめられ、さらに疾患ごとの治療、 患者へのアドバイスなどがまとめられている。

当初、内容があまりに面白いのでこの本のお手軽な翻訳を海賊版的に作るつもりで いたのだが、内容が外来のみに偏っていて、入院患者にそのまま使える部分がほとんど 無い…。このためほとんど一から作り直すことになった。

結果的にこの本から引用できたことはほとんどなかったが、外来診療、特に海外の GPと呼ばれる人がどんな仕事をしているのかがよくわかり、おもしろい。

**Algorithmic Diagnosis of Symptoms and Signs:A Cost-Effective Approach

作者の先生は神経内科の人で、ほかにも何冊か一般内科、救急外来での鑑別診断 の本を書いている。

この本は2004年に第2版が出版されたもので、内科領域で遭遇する主訴、 患者の状態変化(血圧低下や発熱、浮腫など)に対してまずどういった検査を行い、 そこからどんな疾患が考えられるかをすべてフローチャートを用いて説明している。

今回作った研修医マニュアルとほとんど同じような考え方で書かれており、 とても参考になったが、表題で Cost-Effective Approach とあるように、 血液検査やCTといった検査による鑑別はほとんど記載されていない。

また、無理やりフローチャートに鑑別診断を押し込むためか、結構無理のある 診断を行っている部分もある。理学所見による鑑別診断で条件分枝を行って いる部分も多く、理学所見の訓練を十分に受けていない研修医に本書と 同じような診断方法を教えても間違えが増えると思う。

逆に理学所見に自信のある先生、安易な検査オーダーを嫌う先生には 本書は面白く読めるかもしれない。自分自身は自分の理学所見の感度/特異度とも 信じる気になれないので、どうしてもいろいろと検査をオーダーしてしまう。

自分で書いたマニュアルにもフローチャートが多数出てくるが、当初は本書 のそれを丸々翻訳するつもりでいたものの、結局ほとんど一から作った。

**Common Medical Diagnoses: An Algorithmic Approach

この本も、内科領域でよく見る患者の主訴からどんな鑑別診断を考え、 それにいたるまでにどんな検査をオーダーし、その結果から何を考えるかを フローチャート型式でまとめている。前の本よりも編集方針は徹底しており、 1ページ全体を用いた大きなフローチャートとその解説以外には何も書かれていない。

内科学の教科書的な病態生理、治療法といった内容についてはハリソン、セシルの 参照ページが記載されているのみ。

200ページあまりの薄い本だが非常に面白く読めた。

ただ、フローチャートは非常に複雑で、それを1ページに収めるために本も 大きくなっており、持ち歩くのは難しい。この本は理学所見よりも検査所見に 重点をおいて鑑別診断を行っており、どちらかというと自分の感覚にあっていたが、 日本ではできない検査が多々あったり、喘鳴を訴える患者にまず行うべき検査に 精密肺機能検査をあげてみたりと日本の現場の感覚とずれている部分も多かった。

フローチャートは考え方の流れを記載するにはわかりやすい方法なのだが、 主訴から鑑別診断までをこれで書くとピラミッド型になってしまい、 鑑別診断を細かくするほど幅が広がり1ページに収まらなくなってしまう。

この本はフローチャートを用いて最終診断まで記載しているが、その結果 チャートは巨大になり、たとえば腹痛の鑑別診断チャートは4ページに分割して 記載されている。そうなると全体像をつかむのは困難になり、かといって 一覧性を高めるために本を大きくすると持ち運べなくなるというジレンマが 生じてしまう。

先輩たちからの言葉

  • 過労で倒れることを恐れるよりも、何もできないことを恐れろ。君の一粒の汗が、バケツ一杯の血を救うかもしれない
  • 患者に接する時は、温かい春の心。救急外来では、燃える夏の心。治療方針を考える時は、澄んだ秋の心。他科のレジデントには、厳しい冬の心
  • 犠牲者になるな。加害者になるな。そして何よりも、傍観者になるな
  • 道が二つあるならけわしい道を選びなさい
  • 研修医はトランクのようなものだ、やり方さえ知っていれば、その中に二倍の物を詰め込むことができる

研修医 嫌いなものはいじめる、それが人間のすることですか?
上級医 憎けりゃ潰す、それが人間ってもんじゃないのかね?

  • 奴隷は、奴隷の境遇に慣れ過ぎると、驚いた事に自分の足を繋いでいる鎖の自慢をお互いに始める。どっちの鎖が光ってて重そうで高価か、などと。そして鎖に繋がれていないパラメディカルを嘲笑さえする。だが研修医を繋いでいるのは実は同じたった1本の鎖に過ぎない。そして研修医はどこまでも奴隷に過ぎない
  • 明日もまた、同じ日がくるのだろう。研修医には幸福は一生、来ないのだ。それは、分かっている。けれどもきっと来る、明日は来ると信じて寝るのがいいのでしょう
  • 最悪などといえるあいだは、まだ実際のどん底なのではない
  • 医者は頭で生きるというが、頭だけではまだ足りぬ。まあ、やってごらんよ。研修医の頭で生かせるものは、せいぜいシラミ一匹
  • 幸福な研修医はどれも似たようなものだが、不幸な研修医は、いずれもそれぞれに不幸なものである

「いい仕事をした研修医には何を与える?」
「次の患者です。先生」

2004病棟ガイドについて

EBMばやりの昨今ですが、それに違和感を覚えることも多々あります。

自分も循環器の医者なので、ランダマイズドスタディにより検証されなかった 薬を漫然と投与したり、また過去のトライアルで効果が否定された治療をいつまでも 続けたりといったことはしないよう、研修医時代から教え込まれました。

ただ、循環器領域のように1つのトライアルで数万人の患者が集められる領域とは ちがい、他の分野で数百人規模のトライアルを読んだ程度で エビデンスがある、正しいのは自分だとその論文どおりの治療を 強制するような風潮には閉口しています。

この本は、あえてそうしたEBM的な価値観とは離れ、自分が今までやってきて、 とりあえず大きなトラブルも無く患者を帰すことができた方法をまとめてみました。

内容についてはHarrison,CMDT,Saint-Frances Guide,Mosby’s Guideなどを底本にし、 それらの記載の面白そうな部分を自分の文章でつなぎ合わせたような構成をとっています。

章立てについては、Patient Presentations in General Practice という オーストラリアのGPの教科書を参考に、患者さんの症状別に記載することをこころがけ ました。各疾患の記載については簡略なものになっています。

診断のフローチャートの書き方が独特のものになっていますが、これは Nassi-Schneidermanチャートという記載法です。 もともとはコンピュータープログラムを記載するための方法ですが、限られた紙面に 診断チャートを記載するため、こうした書き方になっています。

**想定している使いかた

この本は、以下のような使いかたを想定しています。 -病棟で何か患者さんの症状で判断に困った際、鑑別診断や検査の手順を思い出す際に。 -なにか知らない病名を上司から聞かされた際、とりあえずどういった検査をオーダーすべきか調べる際に。病態は一切書いていませんが、そうした部分は極力書くようにしています。 -上司から”こんな病気、知ってる?”などと聞かれた際にこの本を見せ、とりあえず話題をつなぐために。一言「全く知りません」と答えるよりは、わずかな知識でも上級医としゃべったほうが、いろいろ有益なものを教えてもらえる確率が高くなると思います。

逆に、この本だけで病棟業務を行う(そんな人はいないでしょうが…)、信頼できる 上司のいない病院でこの本を使うといった行為は非常に危険です。 本書の内容は偏っており、また内容の正確性については全く保証できません。

今後、読んでいただけた方からの意見を参考にさせていただきつつ、内容を徐々に 正確なものに近づけていくようにしますが、現時点ではまだまだ不正確な内容も多いと 思います。訂正すべき点、ご意見など聞かせていただければ幸いです。

交渉ごと覚え書き

仕事上の仲間、患者さんやその家族との交渉にあたって留意すべきことの覚え書き。

文章にまとめるつもりがなかなかまとまらない。

-相手から欲しい情報を入手した直後に、会話を終わらせてはならない。あと2つ3つ雑談をして、そのあと会話を終了する。あとから相手が会話について思い出すのは、最後の1つか2つの質問のみである。その他の会話は忘れていることが多い。

-最初に数回雑談をすることで、相手と信頼関係を築くことができる。実際に攻撃を仕掛けるときには相手のガードはかなり下がっている。なぜこうなったのか?それは、相手にとってあなたが既知の人物になっていたからだ。何度か話しただけだが、それによって両者の間には”仕事上の友情”というものが作られた。

-重要なテクニックは、最初のうちはあなたが相手の言うことに関心がない振りをしつづけて、相手をぎりぎりまで困らせ、それから急に協力的になることだ。しょうがない、あなただけ特別に助けてあげましょうという、特別待遇の態度。自分にだけ特別に親切にしてくれる人を、ほとんどの人は完全に信じてしまう。

-相手に何か頼むときは、まずは絶対断られる内容で頼んでみる。人は、困っている人の提案をそういくつも断れない。最初の提案が断られた後、代わりに提案されるものは受け入れられ易い。

-えらい人の名前を持ち出す脅迫の手口は、相手が社会の下のほうの人間であるときに特に効果的だ。えらい人の名前によって、通常のためらいや疑いが抑えられてしまい、被害者の気持ちを前向きにする。人を助けたいという気持ちが、会社の上の人の役に立っているという気持ちによって増幅されるのだ。 “○○先生も、あなたなら退院しても介護は十分できると期待していましたよ”

-頭の良い人は敵を過小評価する。

-まず最初は性格の良い善人を探す。つまり、人を助けることの好きな人を探すのだ。

-同情と助けを求める演技。さらに、相手にやって欲しいことの内容が簡単かつ具体的であること。これも成功するためのポイントである。

-誰かに何かをしてもらったとき、人はお礼をしたいという気持ちを持つ。一番効果的な方法は、何かを与えたり、助けてあげることによって無意識的な恩義を作り出すことである。

-大抵のアタッカーの実態には次のようなものが当てはまる。

かなり暇を持て余している。即ち、アタックを試す時間や時間のかかるアタックでもやってのけてしまう。 信じられないほど忍耐力がある。即ち、成功するまで諦めない。 恥の心を完全に失っている。即ち、プライドを捨てアタックに専念する。  

-二分法

相手の考えを悪魔の説だと決めつけ、自説の正しさを訴える手法。「あいつはウヨクだから」「サヨクだから」「○○信者」「××シンパ」などとレッテルを貼り、それを根拠に相手の主張を全否定する。

-相殺法

重箱の隅をつつくようなことを持ち出して、相手の言い分を帳消しにしようという手法。

「あの人を極悪人のようにいうのはどうかと思います。何かよいところもあるはずで、たとえば、毎朝歯を磨くかもしれない」

-論点のすりかえ

関係のない問題を持ち出し、議論を脇道にそらせてしまう手法。

-消去法

いくつかの選択肢を提示して、「Aは間違い。Bも間違い。したがってCが正しい」と結論を押しつける手法。「ミステリー・サークルは人間が造ったものではない。自然現象でもない」「したがって宇宙人が造ったものに違いない」

-ドミノ理論

ドミノ倒しのように、「Aが起きればBが起きる。Bが起きればCが起きる。Cが起きればDが起きる……最後にはZが起きてしまうので、Aを阻止しなくてはならない」と主張する手法。

-相手に”No”と言わせてはいけない。どうしてだめなのか、その対策をしたらどうなるのか。次々に相手に対して問いを発し、”ダメなものはダメ”で逃げさせないようにする。

-”考えさせてください”と行ったら追撃開始。毎日のように”例の件はどうなりましたか?” などと追及の手を休めることなく相手に決断を迫る。

-ハートマン軍曹の言葉

本日をもって貴様らはウジ虫を卒業する 本日から貴様らは海兵隊員である 兄弟の絆に結ばれる 貴様らのくたばるその日まで どこにいようと海兵隊員は貴様らの兄弟だ 多くはベトナムへ向かう ある者は二度と戻らない だが肝に銘じておけ 海兵は死ぬ 死ぬために我々は存在する だが海兵は永遠である つまり―――貴様らも永遠である!

  「所属」を心臓に刻み込む、ある意味では宗教的な宣誓というものはとにかく人間を強くする・・・・・・善くも悪くも。